ショートカット症候群

「アパートの鍵貸します」という映画がある。名匠ビリー・ワイルダーが、ジャック・レモン扮する平凡なサラリーマンの悲哀を描いた作品だ。この映画のヒロインであるシャーリー・マクレーンに、当時の私はぞっこんだった。当時といっても高校生だったが。
初めて観たときに、なんてかわいい女性なんだろうと思った。ルックスももちろんそうだが、男に甘えるでもなく、媚びるでもない、しっかりと芯の通った性格で、攻めどころがないかと思えば、ある一点が非常にもろかったりする。単純に、ああこんな女の人いいなあと高校生ながらに感じたものだ。
べたべたと甘えて欲しくないけど、二人でテレビでも観ているときは、ソファにぴったりくっついて座っている。大人になったらそんな恋愛をしてみたいなと、この映画を観ると今でもちょっとドキドキしてしまう。
ジーン・セバーグは、もっとストレートだった。ゴダールの「勝手にしやがれ」を観たのは大学に入ってからだった。美しいという形容と、可愛いという形容が二つとも存在するのが彼女である。実に多面的な魅力を持った女性である。
ゴダールでなければ、ああはならなかっただろう。おとぎ話のヒロインに、ジーン・セバーグは務まらない。内面よりも外面から受ける印象を描いたからこそ、ジーン・セバーグの魅力は、ストレートに私へ飛び込んできた。女友達には最高の女性である。
ジュリエット・ビノシュに至っては、盲目である。問答無用である。「汚れた血」の眠そうな目がたまらない。100%の女の子がそこにいたのだ。だがあまりに理想過ぎて、存在としては遠い憧れのようになってしまった。たぶん現実には永遠にお目にかかることができない女性像だろう。
女性の魅力が髪型一つで決まるわけはないが、彼女達がロングヘアだったなら、事象が成立しなかったのは然りである。こんなことを書いておきながら、最近は柴崎コウもいいなあと思っている私であった。

みかつう

ツイッターは@crescentwroksだよん

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