相馬裕子 「風の祭日」

風、緑、木漏れ日、せせらぎ、まさに自然派100%のサウンドである。私はこのファーストアルバムこそが、相馬裕子のアイデンティティであり、一番彼女という人物を表すサウンドだと思う。
それは、彼女が敬愛するアイリッシュミュージックに最も近い音作りがされていることもさることながら、余計なビジネスが入り込んでいないからであろう。CDは、所詮商品である。売り上げが悪ければ、ミュージシャンの好むと好まざるとに関わらず、そのサウンドは修正されていく。そういう意味で、一番ピュアな相馬裕子のサウンドがこのアルバムなのだ。
ギターを中心としたストリングス系のアコースティックなサウンドがアクセントとなり、柔らかなヴォーカルが引き立つアレンジになっている。ゆったりとしたリズムに身を任せ、草木の香りを嗅ぎながら、海風に吹かれれば、それこそまさに、”風の祭日”である。
彼女は、現在も精力的に活動中である。私より一つ下だが、ルックスはデビュー当時と全く変わっていない。
まだ、あの時の風は吹いているのだろうか。
相馬裕子 公式ウェブサイト http://www4.kiwi-us.com/~sohma/top.html
SRCL1800 SONYRECORDS 19910621