何か一つだけ、好きなアニメ作品を挙げるとすると、ガンダムでもなく、ボトムズでもなく、劇場版パトレイバー2でもなく、攻殻機動隊S.A.Cでもなく、私はこの作品を挙げる。連続投稿すると2ちゃんで糾弾される某映画レビューサイトにも書いたが、十年二十年、五十年百年経っても、日本のどこかで鑑賞されている作品だと思う。
確かにガンダムは好きだし、ガンダムがなければ今の私の半分は構成されていないと思うが、作品としては実に不完全なものである。不完全であるから我々ファンが付け入る隙がいっぱいあり、そこへいろんな思い入れが重なって、未だに熱が冷めないのだろう。
カリ城は、作品としては完璧である。完璧であるから、我々が付け入る隙は全くない。ということは、我々は完全に一視聴者としてだけこの作品に接することができる。作品世界に没頭できるからこそ、時代を経て再視聴したとき、以前と自分の視点が変わっていたり、新たな発見ができたりする。
毎日観るとさすがに飽きると思う。だが、一年二年経つと、観たいなあという気持ちが沸いてくる。ルパンという人気作品のバイアスを考慮しても、この作品は日本アニメ界の最高傑作だと言えるだろう。
宮崎監督がどんな映画祭で賞を獲ろうが、時代を超えて鑑賞される作品はカリ城をおいて他にない。それは、22世紀になればわかるだろう。
月: 2004年9月
私のリスニングスタイル
iTunesは実にいい。自宅ではwinだが、職場ではmacを使っている。iTunesが出たとき、改めてパソコンはすごいなあと思ったものだ。今ではwin版も公開され、自宅でも使っている。
ウォークマンが嫌いである。外で音楽を聴くのもいいが、外には外の音がある。街の雑踏、鳥のさえずり、虫の声。音楽は家でゆっくりと聴く。
音質にはこだわらない。こだわってもしょうがない。昔、何かの本で、完璧な再生環境を追求するには、日本の土壌では不可能、みたいなことが書かれてあった。別に書かれてなくても、音質にはこだわらない。割れたりノイズがあるのはだめだけど。
ヘッドフォンをよく使う。というか、ヘッドフォンでしか聴かない。ワイヤレスならなおいい。これも何かに書いてあったが、山下達郎氏もヘッドフォンで音楽を聴いているらしい。別に彼のファンではないけれど。
自腹で買ったCDプレイヤーは、5連奏だ。ターレット式のトレイに、CDが5枚置ける。なぜそんなものを買ったかというと、シャッフルして聴きたかったからだ。お気に入りの女性ヴォーカル5枚とか、お気に入りのミュージシャン5枚とか、全然脈絡も何もない5枚とか。次に何がかかるかわからないドキドキ感がいい。そういう点でも、iTunesは実にいい。だから最近は、プレイヤーを使っていない。
CCCDは、やめてほしい。エイベックスレーベルのミュージシャンなど聴くこともないだろうが、他にも波及するので困る。著作権問題が深刻なのはわかるが、他にもきっといい方法があるはずである。
最近CDを買っていない。気に入った曲もないが、たぶん時代と合わないのだろう。昔はよかったと確かに思うが、今がまずいとは思わない。こういう時は、お気に入りの曲を聴きながら原稿でも書く。
だがこれだけは言わせて欲しい。音楽を自分の感性で捉えず、流行や風潮で聴くな。自分に合う音楽を一生かかって探す、この楽しみをどうか味わって欲しい。
春夏夏冬
暑い。彼岸もとっくに過ぎているのに、なぜ私はTシャツに短パンで汗をだらだらかいているのだろうか。
いつもなら気持ち悪いくらいに時期を合わせてくる彼岸花が、今年は十日以上前に咲いていた。そういえば、セミの初鳴きを聞いたのはまだ6月だった。
こうも異常気象が続くと、そのうち異常が正常になり、元の正常が異常になってしまい、なんのこっちゃわからなくなってくる。
日本は熱帯化しているそうだ。気候区分から見ても、その状況は顕著である。最近思うのだが、どうも秋が短くなっているような気がする。
朝晩が涼しくなり、日も短くなって、日中の気温が下がり、Tシャツに1枚羽織り、短パンからジーパンになり、鍋物やおでんが恋しくなり、コンビニで肉まんを買い食いする。
本来、こんな感じで夏が秋へスライドするのだが、近年は昨日まで夏日だったのが今日はいきなり雪が降りそうな(ちょっとオーバーか)気候になったりして、季節と季節の間がなくなってきている。
このままでは、四季の移ろいに物の憐れや機微を感じていた、日本人の根幹が揺らいでしまうのではないかという危機感さえ抱く。
もっとも、世界中で四季を感じて生活している人種のほうが少ないと思うが、だからこそ、そういう感性を大事にしていかねばと思うのである。
カウボーイビバップ
オープニングを観て、私は確信した。これはすごい作品になると。私にとっても、アニメ界にとっても、である。
一話完結のスタイルは、プロットに程よいテンポを与え、軽妙洒脱なセリフと切れのいいアクションが華を添える。キャラクターも細部まで作り込まれていて、決して難解でない適度な伏線も随所に張られている。
声優陣も素晴らしい。特にスパイク役の山寺宏一は、三枚目の外見とは裏腹に、男の私が聞いてもセクシーでかっこいい声を持っている。スパイクと山ちゃんがイコールだとわかったとき、正直いろんな意味でショックだった。今では洋画の吹き替えも多数こなし、第一線での活躍が目覚しい。
久々に出てきたハイクオリティのアニメだったが、唯一惜しむらくは映画である。劇場用作品がもっと盛り上がっていれば、ビバップは今でも熱く語られていたはずだ。
ビバップのアイデンティティでもあるストーリーのテンポが、劇場用の尺で間延びしてしまい、ビート感が全く欠けていたのだ。オムニバスでもよかったかもしれない。
だが、テレビシリーズ全26話の完成度は非常に高く、筆舌に尽くし難い。未見の方はネットでも視聴できるのでぜひ。「へヴィメタルクイーン」「ガニメデ慕情」「道化師の鎮魂歌」あたりが私のオススメである。
日当たりのいい昆布屋
大阪の某所に昆布屋がある。仕事帰りによく店の前を通るが、もちろん中に入ったり物を買ったりはしない。造りは比較的新しく、老舗というような店構えではない。立地はあまりよくないが、官庁街のど真ん中にあるので人通りは多く、それなりに客も入るだろう。
その昆布屋、店先にワゴンのようなものがあって、そこにも商品を並べている。小さな不透明のプラスチック容器に入った試食用の商品まで置いてある。
いつも夕方に通るのだが、その店は西に面しており、西日が思いっきり店先に当たる。もちろん、ワゴンや試食用の商品にもだ。太陽は、容赦なく店先を照らす。ワゴンに置かれた昆布は、直射日光に晒され続けている。
誰か、試食した人はいるのだろうか。
夏場などは、プラスチックの容器にうっすら水滴のようなものまで見えるというのに。
何か言ったほうがいいのだろうか。今日も私は店先を横目で見て通り過ぎる。
銀河漂流バイファム
ガンダムがロボットアニメの主権を握って以降、勧善懲悪というコンセプトは薄れ、ヒーローという言葉も影を潜めていた。リアルロボットの時代である。
そのリアルロボットの中核を担っていたのが、言うまでもない日本サンライズ(当時)である。富野喜幸を筆頭に、高橋良輔や神田武幸らが次々とリアルロボットアニメを世に送り出していった。銀河漂流バイファムは、その絶頂期にあった作品と言えよう。
オープニングから度肝を抜かれる。全編英語詞である。もちろん、テレビアニメ史上初である。キャラクターデザインは芦田豊雄が担当、作画もスタジオライブが中心に手掛け、リアルなストーリーの中にもほのぼのとしたキャラクターで、視聴者に親近感を与えていた。
作品解説は他に譲るとして、私が特筆したいのはシップクルーの会話である。例えば、宇宙船が宇宙港から発進するシーン。他のアニメなら2、30秒で済ますところを、バイファムでは数分かけて細かく描写している。
クルーの会話、コンピュータの操作などが実に細かく設定されていて、当時観ていた私もちんぷんかんぷんながら、その緊迫した雰囲気だけは感じていた。
もちろん、そういった設定は劇中で説明されることはないが、それがかえってリアルさを引き立て、バイファムの物語世界を構築していった。
そのリアルなセリフがあればこそ、ラストシーンの緊張と緩和が成立し、私を含めた視聴者の涙を誘うのである。サンライズのロボットもので最終回に感動したのは、後にも先にもこのバイファムだけであった。
バイファムファンサイト http://www.v-gene.com/
スタッフ
監督:神田武幸
脚本:星山博之
作画:芦田豊雄
1983.10.21~1984.9.8
月見バーガー
ずっと神戸の仕事が続いてたので、昼飯の選択に苦労した。気分的にケンタッキーも食べたかったが、どうしても割高になるので避けざるを得ない。月末は辛いところだ。というわけで、今日はマクドナルドで軽く済ませた。
あの頭の悪そうなCMを覚えていたので、月見バーガーを食べた。季節メニューである。
クリーム色の四角い包みはマクドナルドにしては凝っていると思う。本体価格を抑えた割には豪華な感じだ。だが一口食べると、以前に食べて思ったことを思い出した。
月見バーガーの名の通り、挟まっているのは目玉焼きにした卵である。しかも、結構分厚い。一口食べると、口の中はほとんど卵の白身である。これが非常に淡白で味気ない。何かソースがかかっているわけでもなく、ベーコンも普通に火を通しただけでうまみが全くない。普通のハンバーガーのほうがシンプルなだけ肉の味がするのでまだマシだ。
たぶんもう食べないと思うが、また来年の今頃、CMと価格に釣られて買ってしまうのだろう。