”スタジオNO.1と金田伊功”と聞けば、チャンネルを合わせないアニメファンはいない。もちろん、当時の私もその一人だった。
あのブライガーには及ばないものの、金田節全開のオープニングは殿堂ものである。パースや骨格を全く無視した人物作画が、いざアニメーションとなるといきいきと動き出す。
一番弟子と言われた越智一裕が初演出を手掛けたのもこの作品である。師匠に言わせればまだまだの出来だったそうだが、当時としては大抜擢である。
また、いのまたむつみが作画監督、キャラクターデザインとして初めてクレジットされるのもこの作品である。既に葦プロ作品で頭角を現し、人気も出てきたときであった。
リアルロボット全盛の時代、確かに作画に関しては話題性が高かったが、ストーリーの完成度が低かったため、やはりこの作品も低迷した。放映時間も3度変更(関東地区)され、視聴率という魔境で番組もさまよったようだ。
月: 2004年10月
MTJ#5
「ため息のマイナーコード」The東南西北
高校生にしてソニーオーディションでグランプリを獲ってしまったバンド。オーディションとしてはこれ以上ないくらい大規模であるから、関係者はヒヤヒヤしていたことだろう。しかしそこはグランプリを獲っただけの腕はあり、数々のスマッシュヒットを飛ばした。ビデオもそのまま、制服姿でメンバーが登場し、青春の1ページみたいな感じに仕上がっている。
「かっちょいい!」米米クラブ
トムトムクラブに音が似ているなと思ったら、本当にそこからきているらしい。今や伝説となったビッグファンクバンドのデビューである。ジェームズ小野田はいきなり強烈である。ビデオでは誘拐犯を演じ、カールスモーキー石井と張り合う。博多めぐみはマジで女だと思っていた。ビデオもステージも、そしてメンバーも、なんてファンキーなバンドだろうか。
わっ、ミュートマやw
「遅咲きガール」戸川純
元祖不思議少女である。ビデオは、いろいろなコスプレが楽し(?)める。この曲と「好き好き大好き」「さよならをおしえて」は、ワンセットで撮影されたようだ。しかし戸川純は、椎名林檎とどこかしら共通点があるような気がしてならない。歌詞に音読ではわからない熟語を多用し、ヤプーズ以降は右翼的色彩を濃くした。
「NO!NEWYORK」BOΦWY
BOΦWYに初めて触れた曲である。レコーディング先のベルリンの映像がフィーチャーされている。まだメンバーはやんちゃな感じがして、トゲトゲしさがあった。後に、日本を席巻するビッグアーティストとなり、現在活躍しているビジュアル系ミュージシャンの大半に強烈な影響を与えることになる。GRAYなんかはもうコピーバンドといってもいいかもしれない。
「HelloHello」LOOK
前作のスローな曲より一転、バカがつくほどポップな曲である。LOOKは精力的にビデオを制作、以降もドラマ仕立てで見応えのある作品を出し続けて行く。たぶん、このビデオに出ているクラシック歌手は、タレントとしてブレイクする前の森公美子ではないかと思う。
銀河旋風ブライガー
”夜空の星が輝く影で、悪(ワル)の笑いがこだまする
星から星へ泣く人の、涙背負って宇宙の始末
銀河旋風ブライガー、お呼びとあらば即参上!”
柴田秀勝の口上であの伝説のオープニングは始まる。ブライガーは、オープニングが全てと言っても過言ではないだろう。
銀河旋風ブライガーは、必殺シリーズをモチーフとし、J9シリーズ三部作の最初にあたる。オープニングに加えて、軽妙洒脱なセリフが話題を呼んだ。塩沢兼人が熱血キャラをあてるのも珍しい。
以前、BSアニメ夜話で銀河鉄道999の話をしていたにもかかわらず、なぜかブライガーのOPが流れた。金田伊功の話に言及して流れたわけだが、コマ送りして動きや作画のおかしさを確かめてみたり、スリーナインそっちのけでかなり長い間話が続いていた。たぶん、テレビの前で相槌を打っていたマニアも多かったはずだ。
金田氏は本編には一切関わっていない(はず)だが、DVD-BOXのジャケットを書き下ろすなど、ブライガーと氏とは切り離せない間柄にある。
ゲームでブライガーを知った人も多いと聞く。ロボットアニメとしてはいささか物足りないところもあるが、J9シリーズはメカよりもキャラが魅力なので、DVDやCSなど、名前を見かけたらご覧いただきたい。もちろん、金田伊功作画演出のオープニングは必見である。
紳助師匠暴行事件
暴力はいかなる場合においても肯定されるものではないが、世の中に暴力がないかというとそれも全くの嘘になる。
この事件の場合、問題なのは暴行を受けた女性にある。
例えば、街を歩いていて声をかけてきた女性を師匠が殴ったとするなら、これは社会的にも非難や制裁を受けてしかるべきである。ところが、この事件で暴行を受けた女性は、吉本興業の社員というではないか。
島田紳助といえば、吉本のタレントでも三本の指に入り、吉本興業の収入の何十%かを担うビッグタレントである。被害届が出て刑事事件になることによって、師匠が今後活動を縮小し、レギュラー番組が終わるようなことがあれば、吉本興業にとっては大損害である。
確かに、大物タレントの暴力に屈せずにそれを粛正しようとする行為は褒められるものである。がしかし、師匠とてそこらのヤクザとは違う。理不尽な暴力ならまだしも、女性社員には殴られてしかるべき理由があったのではないだろうか。
加えて、その行為が吉本興業に多大な損害を与えることを省みないということは、帰属意識に全く欠けていると言わざるを得ない。
仕事の現場で、まして一滴も酒が入っていないところで、何の理由もなく師匠が暴力を振るうということは、私には考えられない。被害届が出ている以上、警察沙汰になることは間違いないので、この問題は今後大きなものになるだろう。
迷い道くねくね
週末は神戸で仕事をしている。時間が不規則なので、午前中で終わるときもあれば、昼休みが4時間、なんて日もある。そんな日は、神戸の見知らぬ道をてくてく歩く。それは、陽光眩しいある春の日の出来事であった。
行き先を新開地としたのに別段理由はなかったが、神戸で仕事をするようになってから、ハーバーランドより西は行ったことがなかった。同僚に近道を教えてもらい、一路新開地へと向かった。
十分も歩かぬうちに、大阪の新世界のような佇まいを見せる街に辿り着いた。見知らぬ街を知るには商店街を歩くべし。私はアーケード沿いに歩いた。寿司飯の酸い匂いが漂う。この辺りも震災でやられたのであろう、真新しい構えの店や空き地が目立つ。
アーケードを抜けると、公園に出た。この湊川公園は、一部が大きな通りをまたいで高架状になっており、非常に興味深いロケーションである。公園を横切って、何気なく北へ進むと、またアーケードが見えた。東山商店街は道幅が狭く、両並びの店がひしめきあっていた。
明石直送のエビは白い発泡スチロールケースの中で跳ね、シャコは篭に山盛りにされている。カニや旬の魚も並び、大阪や京都の商店街とは違って、ここが海に近いことを知らしめてくれる。一パック150円のいなり寿司に目を奪われながら、東山商店街を抜けると、ものものしい工事フェンスが目に飛び込んだ。
そう、ここがあの悪名高き新湊川である。相次ぐ二度の氾濫で付近住民に甚大な被害をもたらしたあの川である。ほとんど流れのない河面を覗きこんだが、道路までは4、5mはあるだろうか、かなり深い。これが溢れるのだから相当な流量である。六甲の山肌が次第に迫り、私は進路を変えた。
事前に何も調べていないのだから、漠然と方角がわかる程度で地理的情報は全く持っていない。気がつくと、南下して公園の東側にいた。このまま南下すれば、地下街のある通りから帰路に着ける。私は、「柳筋」と書かれたアーチのある通りに入った。その先に待ち受ける驚愕の事実も知らずに。
通りに入ってすぐ、私は一人の中年男性に声を掛けられた。
「おにいさん、どうですか?」
客引きである。もちろんその気はないので愛想笑いで断った。更に進んでいくと、
「にいちゃん、安うしとくで」
また客引きである。手を振って断る。何事かとふと周りをよく見渡すと、そこはソープランドやファッションヘルスがひしめいている。
「げっ、ま、まさか・・・」
私は、あろうことが歓楽街に迷い込んでしまったのだ。通りの両側は全て風俗店、更に私の行く手には数人の客引きが待ち構えているではないか。脇道へ入ろうと目をやると、ますますヤバイ店が軒を連ねている。
「マ、マジかよ・・・」
マジである。私の目深に被った帽子など、いかにもという感じがぷんぷんである。それが目的で来たのならいざ知らず、私はただの迷い人である。仕方なく、私はその柳筋を突っ切る覚悟を決めた。
客引きは、次々とまるでRPGのモンスターのように私の行く手を阻む。この通りを歩いてくる人間に声をかけるのは彼らとしては当然である。だが私にそのつもりは毛頭ないので、頭ごなしに断るしかない。だんだん申し訳ないような気がしてきた。
余計な冷汗をたっぷりとかきながら、私はようやく歓楽街を通り抜け、地下街へ続く通りへ出た。ばつが悪いとはまさにこのことである。私は逃げるように地下へと消えた。
MTJ#4
「ラブイズCASH」レベッカ
アイドルポップなレベッカである。どちらかといえば、デビュー後のレベッカは暗めのサウンドだったが、この曲あたりから弾けるようなサウンドを聴くことができる。個人的には好みではないが。劇中に出てくるキャッシュディスペンサーが時代を感じさせる。NOKKO、ビデオ終盤で口パク間違いあり。笑ってごまかす。
「TEENAGE」PSY・S
たぶん中野裕之あたりが撮った作品。古い時代劇映画のシーンをコラージュしたサイズ衝撃のデビュー曲。パンキッシュな色使いや、モノクロフィルムに着色するなど、映像的にかなりクオリティが高く、やがて訪れるハイテク90’sを予見させる。
↑たぶんじゃないよねw↓
「YELLOW BLOOD」ARB
いつまで経ってもかっこいいバンドである。ドラムのキースは、入れ墨にスキンヘッドで幼稚園に子供を迎えにいっていたらしい。こういう人ほど絶対に子煩悩なのだ。ARBもビデオには力を入れていたほうである。この曲では、石橋凌がだんだん歌舞伎のメイクになっていく。よく見ると、ちょっと編集でミスっているところがあったりする。今みたいにデスクトップでちゃちゃっという時代ではないのだ。
「SINGING CIRCUIT」Sho-Shonen
Shi-Shonenもムーンライダース系のテクノバンドである。テクノ系もムーブメントとしては終期で、Shi-Shonenも程なく活動を終了する。確かにフェアチャイルドの前身ではあるが、そう位置づけるのはちょっと疑問が残る。潜水艦が砂浜を縦横無尽に進み、それをメンバーが追い掛ける。意味としては不明。各メンバーのキャラクターは強烈である。
MTJ#3
「金曜日のライオン」TM NETWORK
TMのデビュー曲。小室の曲調はこの頃から何一つ変わっていない。ダンサブルではないが、耳を惹く音であることには違いない。むしろダンサブルな曲より、テンポの緩やかな曲に名作が多い。宇都宮のルックスはよかったが、あまりアイドル的売れ方はしなかったように思う。それより、今でもみんな元気で頑張っているのはすごいことだ。
「なんかちょうだい」伊武雅刀
残念ながら、私はスネークマンショーを知らないが、伊武キャラ全開のビデオである。なまじ声のいい人がこんなヘンなことをされるとインパクトが妙なところについて癖になる。緊張と緩和という笑いのセオリーに忠実な内容である。音楽をサポートしたShi-Shonenのメンバーも巻き込まれている。
「緑の日々」オフコース
大作である。もはやビデオクリップの域を出、一つの映像作品として立派に成り立っている。年老いたメンバーの前に武田鉄矢扮する天使が現れ、人生をもう一度やり直す機会を与えるというストーリー。映像もいいが、断然曲もいいのである意味卑怯かもしれない。高樹沙耶、エディ・タウンゼントが客演している。未見の方はぜひご覧いただきたい。
「摩天楼ブルース」東京JAP
メンバーに赤坂泰彦がいたことはあまり知られていない。冒頭、いきなり女性の死体である。自殺か他殺か、都会に暮らすこの女性に何があったのか。小泉今日子主演ドラマ「少女になにが起こったか」の主題歌でもある。引っ掛けたか。ともかく、いい曲である。私はカラオケがこの世から消えて欲しいと思うくらい嫌いだが、この曲は熱唱してみたい。
「FIELD WORK」坂本龍一 Feat.Thomas Dolby
これも大作である。前大戦の生き残りである日本軍兵士(教授)を、マニアックなストーカー(トーマスさん?)がその生活を追い掛け、最後には殺されてしまう。こういう大作になると、曲がBGM化してしまいがちなのでバランスが難しい。教授のできてるようなできてないような芝居も必見。