中川勝彦

テレビでおねえキャラが持てはやされた時期があった。実際に同性愛者もいれば、完全にキャラクターとして演じている人もいる。ミュージシャンにも、中性的なイメージを売りにしている人がいるのが当たり前になっている。中川勝彦が現れたのは、まだビジュアル系という言葉すらなかった時代だった。
チェッカーズや尾崎豊がデビューし、ヘヴィメタが台頭して、ミュージックシーンが混沌としてきた80年代中期、彼は突然現れた。甘い端正なマスクに、華奢な身体。初めてPVを観た私は、彼の性別を判断しかねないでいた。
その「Please,Understand me」のPVは、イメージを羅列するコラージュで構成されていて、中でも印象的なのは彼の顔と女性の裸体を合成したイメージカットである。スローな曲調はますます妖しく、絞り出すようなヴォーカルは、悲壮感さえ漂っていた。「私を理解してください」という曲のタイトルは、そのまま彼を指しているようにさえ思えた。
中性的なイメージは受け入れられなかったが、彼が美男子であることに変わりなく、圧倒的な女性ファンの支持で人気を得た。思うに、彼の登場は十年早かった。
しばらくして、意外なところで彼の名前を目にする。「超力ロボ・ガラット」というギャグロボットアニメの声優としてである。それも主役として。恐らく声優初挑戦のはずだが、不自然さや違和感は全くなく、見事に主役をこなした。この他、テレビドラマにも出演し、マルチな才能を発揮し始めた矢先、彼を病魔が襲う。
急性骨髄性白血病により、1994年9月17日、中川勝彦は永遠の眠りについた。やはり、美しいものは命が短いのだろうか。
この記事を書くにあたってリサーチしていると、なんと娘さんが芸能界デビューしているという。娘さんがいること自体知らなかったが、お父さんに似て美形である。
中川翔子公式ウェブサイト http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Spotlight/2422/
中川翔子ファンサイト http://www3.to/nakanan/
中川勝彦ファンサイト http://www.geocities.co.jp/MusicStar/5587/