NHKのみんなのうたはみなさんもご存知かと思う。私は「北風小僧の寒太郎」が大好きなのだが、なぜかあの歌を聴くと涙がこみ上げてくる。悲しいわけでもないのだが、楽しい歌の中にもどこか冬の物悲しさや、郷愁が隠れているのだろう。マチャアキもいいが、やはりあの歌はサブちゃんバージョンがいい。
アンナ・バナナも、初めて聴いたのはみんなのうたである。「smile」という曲が耳に残り、CD屋でアルバムを手に取ると、田島貴男がプロデュースしているとある。ピチカート時代から、曲調は好きだがどうも男ヴォーカルなのが引っ掛かっていて、女性ヴォーカルの田島貴男の曲が聴きたいと思っていたところだった。
夏をテーマにしたサウンドは、それらしく作り込んであるものの、ストレートなイメージは感じられない。海は近くにあるんだけど見えない、しかし確かに今は夏、みたいな感じに仕上がっている。
アンナ・バナナのヴォーカルは、夏の空気感だけをたっぷりと含んで、田島の曲を歌い上げている。これがもし田島自身のヴォーカルなら、じとっと汗がにじむところだ。まさに「High Dive」。水飛沫が顔に跳ねるようなサウンドである。
よく晴れた夏の日、オープンカーで海沿いの道を走りながら、また来年にでも聴いていただきたい。
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