オープニングを観て、私は確信した。これはすごい作品になると。私にとっても、アニメ界にとっても、である。
一話完結のスタイルは、プロットに程よいテンポを与え、軽妙洒脱なセリフと切れのいいアクションが華を添える。キャラクターも細部まで作り込まれていて、決して難解でない適度な伏線も随所に張られている。
声優陣も素晴らしい。特にスパイク役の山寺宏一は、三枚目の外見とは裏腹に、男の私が聞いてもセクシーでかっこいい声を持っている。スパイクと山ちゃんがイコールだとわかったとき、正直いろんな意味でショックだった。今では洋画の吹き替えも多数こなし、第一線での活躍が目覚しい。
久々に出てきたハイクオリティのアニメだったが、唯一惜しむらくは映画である。劇場用作品がもっと盛り上がっていれば、ビバップは今でも熱く語られていたはずだ。
ビバップのアイデンティティでもあるストーリーのテンポが、劇場用の尺で間延びしてしまい、ビート感が全く欠けていたのだ。オムニバスでもよかったかもしれない。
だが、テレビシリーズ全26話の完成度は非常に高く、筆舌に尽くし難い。未見の方はネットでも視聴できるのでぜひ。「へヴィメタルクイーン」「ガニメデ慕情」「道化師の鎮魂歌」あたりが私のオススメである。