何か一つだけ、好きなアニメ作品を挙げるとすると、ガンダムでもなく、ボトムズでもなく、劇場版パトレイバー2でもなく、攻殻機動隊S.A.Cでもなく、私はこの作品を挙げる。連続投稿すると2ちゃんで糾弾される某映画レビューサイトにも書いたが、十年二十年、五十年百年経っても、日本のどこかで鑑賞されている作品だと思う。
確かにガンダムは好きだし、ガンダムがなければ今の私の半分は構成されていないと思うが、作品としては実に不完全なものである。不完全であるから我々ファンが付け入る隙がいっぱいあり、そこへいろんな思い入れが重なって、未だに熱が冷めないのだろう。
カリ城は、作品としては完璧である。完璧であるから、我々が付け入る隙は全くない。ということは、我々は完全に一視聴者としてだけこの作品に接することができる。作品世界に没頭できるからこそ、時代を経て再視聴したとき、以前と自分の視点が変わっていたり、新たな発見ができたりする。
毎日観るとさすがに飽きると思う。だが、一年二年経つと、観たいなあという気持ちが沸いてくる。ルパンという人気作品のバイアスを考慮しても、この作品は日本アニメ界の最高傑作だと言えるだろう。
宮崎監督がどんな映画祭で賞を獲ろうが、時代を超えて鑑賞される作品はカリ城をおいて他にない。それは、22世紀になればわかるだろう。