ガンダムがロボットアニメの主権を握って以降、勧善懲悪というコンセプトは薄れ、ヒーローという言葉も影を潜めていた。リアルロボットの時代である。
そのリアルロボットの中核を担っていたのが、言うまでもない日本サンライズ(当時)である。富野喜幸を筆頭に、高橋良輔や神田武幸らが次々とリアルロボットアニメを世に送り出していった。銀河漂流バイファムは、その絶頂期にあった作品と言えよう。
オープニングから度肝を抜かれる。全編英語詞である。もちろん、テレビアニメ史上初である。キャラクターデザインは芦田豊雄が担当、作画もスタジオライブが中心に手掛け、リアルなストーリーの中にもほのぼのとしたキャラクターで、視聴者に親近感を与えていた。
作品解説は他に譲るとして、私が特筆したいのはシップクルーの会話である。例えば、宇宙船が宇宙港から発進するシーン。他のアニメなら2、30秒で済ますところを、バイファムでは数分かけて細かく描写している。
クルーの会話、コンピュータの操作などが実に細かく設定されていて、当時観ていた私もちんぷんかんぷんながら、その緊迫した雰囲気だけは感じていた。
もちろん、そういった設定は劇中で説明されることはないが、それがかえってリアルさを引き立て、バイファムの物語世界を構築していった。
そのリアルなセリフがあればこそ、ラストシーンの緊張と緩和が成立し、私を含めた視聴者の涙を誘うのである。サンライズのロボットもので最終回に感動したのは、後にも先にもこのバイファムだけであった。
バイファムファンサイト http://www.v-gene.com/
スタッフ
監督:神田武幸
脚本:星山博之
作画:芦田豊雄
1983.10.21~1984.9.8