お笑い芸人といえども、人を笑わすことばかりがスキルではない。芝居のスキルもかなり重要になってくる。得てして、お笑い芸人でも役者紛いの芝居をする連中はたくさんいる。大阪の芸人が芸に厚いのも、ベースにしっかりとした芝居や演技のスキルが叩き込まれているからである。
漫才はまだしも、コントは完全に芝居である。新喜劇も、ちゃんとした芝居の上に、ギャグやおかしみをペーストしている。まず芝居ができて、それから笑いである。返して言えば、芝居心のない芸人は、いくら精進しても大成しない。
雨上がり決死隊の宮迫がNHKの大河ドラマに出るという話を聞いたとき、そこそこ芝居もできるから選ばれても不思議ではないな、という感覚で捉えていたところ、なんと彼の役どころは主役と堂々と絡んで立ち振る舞う、とても重要な役だったのだ。これにはさすがに私も驚いた。その後、彼は数々のドラマや映画に出演し、俳優としての才能も開花させている。
もちろん、中には芝居が不得手の芸人もいるが、それはそれで構わない。お笑いに特化してスキルを伸ばすのも芸人としては重要だ。しかし、自分の芸を広げていく上では、やはり芝居や演技は無視できないだろう。それは、才能でなく、努力でどうにかなるものなので、精進すれば笑いの神とも戦える日がきっとやってくるだろう。
「舞台は戦場や」明石家さんま