映画は観ていない。たぶん観ないと思う。観ていない映画について書くのは気が引けるが、少し書き留めておきたい。
まず一つ。映画は総合芸術である。絵画や音楽のように、人の心を打つ芸術である。それは時代を超えてなお、人々を感動させるものである。
十年、二十年、五十年、百年経って、誰がこの映画を観るのか。ブッシュ、誰?。アカデミーはともかく、カンヌまでこの映画に賛美を贈ってしまった。カンヌも底が知れてきた。
二つ目。ドキュメンタリーはノンフィクションではない。ドキュメンタリーは事実でもない。人の目が、手が入ることによって、それは演出された映像になる。私の目が、あなたの目が見たものこそが事実であって、私の目が見たものは、あなたにとって事実ではないのだ。
ちょっとスケールの大きな、ワイドショーの特集VTRみたいな映像が、映画として君臨する。レイ・ブラッドベリの素晴らしい小説のタイトルをおちょくって。
小津安二郎や、黒澤明と同列に、マイケル・ムーアが並び称されるほど、口惜しいものはない。