バックナンバーズ・雑誌と腕時計

以前、女の子と茶席で話していたときに時計の話になって、私が腕時計をしていない理由を尋ねられた。大学の時に買った腕時計が、ものの一月も経たないうちに止ってしまい、電池交換も面倒なのでそのままにしておいたら、別に不自由なく生活できたので、今更欲しいとも思わないし必要とも思わないと答えた。
彼女は、俯き加減で嘲るように笑っていた。
心理学上、かどうかは定かではないが、腕時計というのは自分の恋人に対する考え方を表しているそうだ。腕時計を必要と思わない私は、恋人を必要としていないということになる。きっぱり言っておくが、私は正常である。
これは別の友人から聞いたのだが、雑誌は友人に対する考え方だそうだ。私は、必要なものだけを買って、ずっと置いておくと答えた。これは当たっている。
経済的理由が行動を制限しているのは確かだ。ちょっと興味のあるものなんかは、そういった理由で後回しにしていることが多い。友人も多いと交際費もばかにはならない。こういった例えはなるほど言い得て妙である。
腕時計の話を聞いて以来、私はずっとそのことが頭から離れない。あの場では「そんなことないよ」と一笑したが、冷静に考えて今恋人が欲しいかと考えると、そんなに必死になって欲しいとは思わないのが正直なところだ。延いては、恋人とは自分にとってどういう存在でありえるのか考えたりもする。恋人は友人の延長なのか、友情の行き着く先が愛情なのか、愛は欲しいと思って手に入れるものなのか。
また、恋愛小説を書こうと思った。
(みかつう9705号)

みかつう

ツイッターは@crescentwroksだよん

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