テレビゲーム黎明期に育った我々は、まさにその歴史とともに歩んだとも言える。インベーダー、ファミコン、プレイステーションと数々のゲームをこなしてきているだけに、造詣も思い入れも深い。新カテゴリー設置に伴い、とりあえずベストゲームを三つだけ挙げてみよう。
まずは、国産RPGの最高峰、ドラゴンクエスト(以下DQ)である。今から考えるとシナリオも一本調子だし、グラフィックも美麗とまではいかないが、日本にロールプレイングゲームを根付かせた貢献は賞賛に値する。何より、私も大ハマりしたうちの一人である。
エニックスとチュンソフトが制作したDQは、アクションやシューティングが中心のゲームソフトに、新たにRPGというカテゴリーを打ち立て、瞬く間にそれはゲームの中心的存在にまで発展した。当然、他のいろんなRPGが発売されたが、練り込まれたシナリオとゲームバランスは、他の追随を許さなかった。そして唯一対抗し得たのが、スクウェアのファイナルファンタジーシリーズである。しかしまさか、その二つのソフト会社が合併しようとは、正直夢にも思わなかった。
現在、最新作のDQ8が発売されているが、もしかすると古いゲーマーの中には「あれはDQじゃない」と思っている方もいるだろう。私もそのうちの一人である。
次は、ゼルダの伝説である。ファミコンのディスクシステムソフト(以下FDS)として開発された。FDSはファミコンのロムカートリッジに比べ、容量やサウンドエンジンが強化されている。何より、ゲームデータのセーブロードが相当便利になった。もうあの謎の呪文をメモする必要がなくなったのだ。加えて、ディスクをソフトごと書き換えることによって、新しいゲームがプレイできる。任天堂の新たな試みであった。
ゼルダの伝説は、アクションロールプレイングという形式をとる。前述のDQがコマンドロールプレイングというプレイヤーがキャラクターを動作するコマンドを選択してプレイするのに対して、アクションロールプレイングは、キャラクターを直接操作する従来のアクションゲームに、RPG的な成長要素を加えたものである。
スーマリ的なアクション要素に、プレイを重ねるたびにキャラが強くなるというRPG要素、加えて、エンディング後に始まる裏面や、ダンジョンの隠し扉や隠しアイテムなど、今までのゲームになかった奥行きと懐の深さがゲーマーを熱中させた。現在に至って数々の続編がつくられたが、やはりオリジナルのゼルダの伝説が一番である。
最後は、私がこの二十年ベストワンに挙げ続けているメトロイドである。
メトロイドもRPG的な要素があるが、基本的にはアクションゲームである。サイドビュー、迷路のようなダンジョンで、敵やパワーアップアイテムを探しつつ、最終ボスを目指す。アクションは、難易度のバランスをとるのが難しい。楽過ぎてはつまらないし、難し過ぎてもつまらない。メトロイドは、そのゲームバランスに優れたゲームである。
大ボスを倒しての大脱出(あれは焦った)、メトロイドの浮遊感とミサイルを撃ち込んだときのエフェクト、プレイヤーキャラクターの様々な攻撃アクション、スーマリを彷彿とさせるステージング。まさにシューティングアクションの最高峰である。
グラフィックが優れているものだけがいいゲームソフトとは限らない。プレイヤーを如何にゲームの世界に引きずり込むか、それは動きがスムーズなムービーでも何万色表示できるグラフィックでもない。ボタンを押してキャラが動く、プレイヤーとキャラクターの同化。この一語に尽きるのである。