けろちゃんず

050518
かえるを飼っている。アマガエルである。ちょうど二年ほど前、それまで飼っていた魚が死んでしまって水槽が空いたので、かえるでも飼ってみようかと思い立った。
ペットというのはどんなものでも飼うのは大変だが、かえるの一番大変な点は餌である。かえるは動くものでないと口にしない。つまり、生きている餌でなければならない。
だいたい週に一度、近所の川原でバッタや蝶を採ってきて餌にしている。魚を飼っていたときに使っていた小さな片手網を持って、いい大人が川原でせっせとバッタを捕まえているのだ。周りの目など気にしていては、かえるの生死に関わる。バッタを追う私の眼差しは、ハンターそのものであることに最近気づいた。
小さいころは口の大きさに合う餌の確保に苦労した。春先などはバッタも小さいのでよかったが、秋口になるとなかなか小さい虫がいない。川原を探していると、小さなコオロギがたくさんいるところを見つけた。1cm未満の小さなコオロギを数十匹単位で採ってきては与える。かえるの食欲は旺盛で、次の日にはすっかりなくなっていることも多かった。
世話の甲斐あって、秋が終わる頃にはだいぶ大きくなったが、これからが最大の難関である。冬眠だ。暖かくして冬眠せずに過ごさせることも考えたが、餌の確保がほぼ無理なので冬眠させることにした。
ケージの半分近くまで腐葉土と水を含ませた水ごけを入れて、大きな枯葉を敷き詰める。冬眠といっても土の中にもぐることは少なく、大概は枯葉の下や浅い土の下にいるそうだ。冬眠に成功して春を迎えることができて初めて、かえるの飼育に成功したと言える。けろちゃんず3匹、無事に冬を乗り越えてくれるだろうか。
12月くらいになると、もうほとんど餌らしい餌が採れなくなる。それに合わせて涼しくなればいいが、そうはいかない。餌のないままクリスマスが過ぎ、年が明けてもけろちゃんずは枯れ葉から出たり入ったりだ。ようやく1月半ばごろに、3匹とも姿が見えなくなった。
土の乾燥具合を見て、乾いていれば水分を補給する。かえるにとって、水分は必要不可欠である。冬場は空気が乾燥しているので姿が見えないとはいえ要注意である。
3月になるとぼちぼち顔を見せ始めるが、まだ餌がないのでここは我慢させる。桜が咲いて水が温むと、多少寒くてもケージの衣替えである。土を撤去し、ポトスの鉢植えを入れる。枯葉を残しておくと寒いときにはもぐっている。
春先の餌だが、4月でも気の早いバッタがたくさんいるのでたらふく食べさせる。ツユムシの類が豊富にいるので、もっぱらの主食である。夏は意外と餌に苦労する。暑さで活動を控えているせいだろうか、なかなか採れなかったりするのだ。基本的に生きていればなんでもいいので、そういうときは小さなシジミチョウやイトトンボなどで我慢してもらう。セセリチョウは、胴体も太くて羽も小さいので人気である。
さて、来年あたりそろそろ繁殖できそうな感じだが、もしそうなったら、子供たちはけろちゃんずを捕獲した場所に返そうと思っている。別に何のつもりもないが、毎日癒してくれるせめてものお礼としておこう(礼になってないか)。