サッカー少年の中には、ドーハの悲劇を知らない世代もいるだろう。94年ワールドカップアメリカ大会のアジア最終予選において、日本は一瞬の隙をつかれて本戦出場を成しえなかった。あれから十年余り。06年ドイツ大会アジア予選において、日本は本戦出場を一番乗りで成し遂げた。
前戦のバーレーン戦で予選突破はほぼ手中にしていた日本だったが、今回の北朝鮮戦では、ヒデ、三都主、俊輔を欠いた形で戦わなければならなかった。小野も直前で負傷し、いくら格下の相手とはいえ、戦力ダウンは必至だった。
高温多湿、無観客、選手のモチベーションにも不安が残る。12人目の選手は、スタジアムにはいない。
前半は0-0で折り返したが、ピッチにいる選手は誰もが重い動きで終始した。劣勢ではないが、優勢でもない。確かに引き分けでもいいのだが、どうにもいやな感じであった。そんな気分を払拭してくれたのが、後半に投入された大黒であった。
動きのいい大黒に引かれて、次第に運動量が増えていく選手たち。そして73分、待望のゴール。決めたのは柳沢だ。よし、これで勝てる。
さらに終了間際、その大黒がとどめのゴール。日本はドイツ行きを決めた。
私はサッカーに関しては素人である。だが、素人目に見ても、ドーハ以降の日本サッカーは、着実に力をつけてきた。実力で勝ち取った、二度目の本戦出場。
いざ行かん、決戦の地ドイツへ。