ポータブルロック 「ビギニングス」

このアルバムは、ポータブルロック解散後の1990年に発売されたが、音源としては最も古いものである。
ハルメンズのゲストヴォーカルとして「ハルメンズの20世紀」に参加、81年にはソロデビューアルバム「ピンクの心」を発表した野宮真貴をヴォーカルに、フィルムス解散後、ヤプーズと掛け持ちで参加するベースの中原信雄、81/2のギターであった鈴木智文、彼らがポータブルロックを結成し、82年頃に録音されたとされるのがこのアルバムである。
解散したバンドの、しかもそれほど高名ではないバンドの古い音源を、見つかったからといっておいそれとCDにして売るからには、それなりの理由があるはずである。それがあるのだ。
メジャーデビューして発売された2枚のアルバムと「ビギニングス」を聞き比べると、その音楽性の違いに驚かされる。確かに同じバンドなのだが、受ける印象が全く異なるのだ。
技術的に完成されたメジャーアルバムの音に比べ、「ビギニングス」は実に素朴で、ファンタジックでさえある。テクノという形態をとりながら、実にアナログな、純粋な楽曲なのである。
どちらが優れているということではない。ガールポップとして完成したポータブルロックもいいが、素朴でナチュラルなポータブルロックにもふんだんな魅力があったのだ。
ライナーノートでサエキけんぞう氏も触れているが、私が「ビギニングス」を聴いて驚いたのと逆に、ポータブルロックを古くから知っている人は、メジャーアルバムを聴いて驚いたことであろう。そういった人達の思いが、この音源を世に出す切っ掛けになったのではないだろうか。
機会があれば、ぜひこの「天然テクノポップ」を聴いていただきたい。
CDSOL-1019 SOLIDRECORDS 19900925

みかつう

ツイッターは@crescentwroksだよん

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