学生時代、私をガンアクションの道に引きずりこんだのは、リチャード・ドナーの「リーサルウェポン」だったが、本格的にはまり込んだのはウォルター・ヒルの後押しであった。
私が最も好きなのは、作品としてはあまり評価のよくない「レッドブル」である。シュワちゃんではない。ジム・ベルーシなのだ。お世辞にも二枚目とは言えない彼が、癖のあるウィーバーでステンのマグナムをぶっ放す。これが実にかっこいい。監督お得意の両肩弾着も随所に見られ、ジェームズ・ホーナーの音楽もいい。だが、ウォルター・ヒルのガンアクションの魅力はそれだけではない。
俳優の銃の構えや扱う銃種、射撃や弾着の効果に加えて、銃を扱うキャラクターの感情を描き出すのがウォルター・ヒルの特長である。「レッドブル」の場合、シュワちゃんは寡黙で冷徹な役所なので、銃の撃ち方もまっすぐ構えて的確にポイントシューティングをする。ジム・ベルーシはというと、暴力的で直情型の刑事なので、撃ち方や構え方も激しく、力強い。銃を知らない日本人監督にはできない演出だろう(日本人には刀があるさ)。
もちろん、ガンアクションだけではない。「ジェロニモ」は地味な映画だったがネイティヴアメリカンの悲哀が描けていたし、プロデューサーや脚本家としての活動も顕著である。
これ以降、私はガンアクション映画をそれこそ根こそぎ鑑賞したが、脳天気なドンパチ映画より、やはり心理描写に富んだ映画のほうが心に残る。惜しむらくは、日本映画でいい作品が出てこないことだが、いずれは重い腰を上げようかなと思っている。一応これでも、第一回GUN誌ビデオコンテストで佳作入選しているのだ(そのうちアップするからね)。