私が初めて自分の小遣いで買ったLPレコードである。これで家庭の環境が整っていれば、私は間違いなくミュージシャンの道を歩んでいただろうが、やはりそこはただの小学生、まんまとガンダムへ行ってしまった。
それはさておき、今更何の解説の必要もないアルバムである。ジャケットの裏で、半笑いでマネキンの股間を掴んでいる細野晴臣、当時からスカした感じのあった教授こと坂本龍一、そういえばどことなく松田優作(というより工藤ちゃん)に似ている高橋幸宏。オーケストラなのに3人?という疑問は、ガキの私なら当然だろう(余談だが、この雀卓に写っているコカコーラは商標だからまずいのでは?)。
ドイツのクラフトワークに端を発したテクノポップが、日本において市民権を得たのはYMOの功績である。次のムーブメントを探していた音楽業界は、ここぞとばかりに飛びつき、テクノは一気に蔓延していった。インベーダーゲームやパソコンの登場など、インフラが揃っていたことも相まって、テクノは80年代の巨大なムーブメントとなった。
当然、これを受けて多くのテクノポップバンドが出現した。プラスチックス、ヒカシュー、ジューシィフルーツ、一風堂など、YMOは彼らの血となり肉となり、その遺伝子を後世に伝えていった。
四半世紀が過ぎてなお、YMOはその痕跡を日本の音楽界に残している。これほど多大な影響を残したミュージシャンは、この先もおそらく出てこないだろう。
バブルによって、音楽業界は完全に商業主義に乗っ取られてしまった。時代の流行と共に、音楽も激しく時代を流れていく。確かに音楽は流れるものだが、いい音楽は耳に残るはずである。その耳を養う努力を、聴き手である我々は、決して怠ってはならないのだ。
ALR-6022 ALFARECORDS 1979