本田博太郎

「北京原人」という映画があった。映画はさておき、その中で北京原人役を演じたのが本田博太郎である。それから、彼の中で何かが弾けた、ような気がする。
それまで私は、本田博太郎という役者には、クールで二枚目なイメージを持っていた。だが、いつのまにか彼は、奇異なキャラクターになってしまった。
時代劇に出れば一癖どころか十も百もあるような刺客や代官を、現代劇に出ればねっとりとした口調で犯人や刑事を。まさに怪演である。
というより、最近彼の真っ当なキャラクターを見た事がないのだ。宣材写真は実にオトコ前で渋いのに、なぜこんなになってしまったのだろう。何が彼をそうさせたのだろう。
しかし、そんな本田博太郎が面白くてしょうがない。
現在、ライフカードのCMがオンエア中である。あのねっとりとした口調で、オダギリジョーをいたぶる犬山課長を怪演している。CMのつづきはこちらで。

第35回NHK上方漫才コンテスト

最優秀賞:レギュラー
優秀賞:千鳥、つばさ・きよし

レギュラーは、あるある探検隊を封印しての優勝。知名度も上がってきたので、そろそろか。
千鳥も順当に力をつけてきている。しかし、何か物足りない。せっかく勢いが出てきたので、このまま行ってほしい。
つばさ・きよしは初めて見聞きしたが、技は確かにあるものの、花がない。調べてみると、二人とも師匠持ちであった。大木つばさ、ぼんちきよし。それぞれ誰が師匠かわかるだろう。今後に注目である。
以前にも触れたが、大阪NHKのコンテストは非常に保守的な審査である。保守的というのは、しゃべくり漫才を重要視し、コントものや構成の変わったネタを嫌う傾向がある。南海キャンディーズ、イシバシハザマはかなり客席のウケもよかったが、優秀賞には食い込めなかった。
レギュラーは奇異な構成だが、ダントツに面白かったのは確かである。優勝賞二組がしゃべくり漫才だったことが、その保守的な審査を如実に表している。
しゃべくり漫才の伝統を保つのも重要だが、もう少し審査員の顔ぶれを改めてほしいものだ。まあ、それがNHKであるといえばそうなのだが。

World Wind

以前、JAXAのプラネタリウムソフトを紹介したが、さすがはNASA、もっとどえらいものを作ってきた。World Windという、3D地球儀ソフトである。
Win専用、ハイスペックが要求され、高速回線、DirectX最新、.NET Framework必須、しかも空きが2ギガはないと後々苦しいという敷居の高いソフトではあるが、インストールの価値は大いにある。もちろん、フリーだ。
起動すると丸い地球がぽんと表示される。右クリックでドラッグすると、地球がくるくる回る。日本に合わせてホイールでズーム、ある程度近づくと、ツールバーで選択した場所の衛星データがロードされていく。残念ながら日本はそれほど精細ではないが、大きな道路や川などははっきりとわかる。
そして、左クリックで上下方向にドラッグすると、視点が真上から水平方向に移動する。データがあれば高低差が表示できるのだ。山の起伏がはっきりわかり、まさに空から見ている気分である。
それだけではない。何か災害が起きると、その付近の衛星画像が表示できる。先のスマトラ島の津波被害の様子や、火山の噴火、山火事や台風など、ネット経由でデータがダウンロードできる。
以前にシャトルのミッションで詳細な世界地図をつくるというのがあったのだが、それを利用したソフトである。そういえば、地図ソフトをつくるとかいうアナウンスがあったように思う。
暇つぶしに眺めているだけでも充分楽しめるソフトなので、ぜひお試しいただきたい。ただし、どうも画像のキャッシュが残るようなので、HDDの空きには注意が必要である。
http://worldwind.arc.nasa.gov/

「どエンゼル」は21世紀のごっつになれるか

ショートコントは、ごっつ以上のものはもうできないと思っている。ごっつ以上のものを作るには、ダウンタウンを超える芸人、三木聡、倉本美津留を超える作家が必要である。そして、それは不可能である。
関西ローカルではあるが、土曜日の深夜に「空想科学番組どエンゼル」というのがある。製作元である読売テレビのウェブサイトに全くページが存在しないという(どういうこっちゃ?)番組だが、テレビ欄の番組紹介にショートコントとあったので観てみた。
笑い飯、板尾創路、YOU、キタキマユ、古田新太と錚々たるメンバーである。で、構成作家が倉本美津留である。音楽に重きを置いた構成で、各パートが一応連続した形でつながっている。随所にはアニメーションも入り、私はふとモンティパイソンが浮かんだ。
キャラクターに依存せず、ネタで勝負しているところはかなり強気の姿勢である。はねトびが今一つ伸びていないのも、東京ローカルから全国ネットへ移行したときに、ショートコントがキャラクター依存だったため、新規の視聴者をおいてきぼりにしたからだ。私もその一人である。
笑い飯の実力は推して知るべしで、ショートコントはまだまだやらされてる感が否めないが、主導権を握ればダウンタウンに匹敵するパワーを秘めている。板尾は最強のバイプレーヤーであり、ブレーンとしてもこれ以上のサポートはないだろう。YOUもまた同じである。ダウンタウンに鍛えられ、芸人のスキルとしてはもう中堅クラスである。ただ、スケジュールの都合か私の観た回は別撮りであった。笑い飯との絡みを観てみたいところである。
キタキマユは、私も誰やあれ?といった感じだったが、ごっつの篠原涼子のポジションに似ている。花王ロリエのCMにも出ていた、髪の長い女の子である。実はれっきとしたシンガーであり(意外)、もしこのまま軌道に乗ればYOUのポジションになる。ま、そこはほどほどに。
我が大学の偉大な先輩古田新太は、私が観た回はたった1カットの出演だった。もちろん、芝居も笑いも超一級なので(褒め過ぎか)、ショートコントでは絶大なサポートとなる。
倉本氏はご自身でも音楽を制作されていて、どエンゼルではそれが色濃く反映されている。キタキマユの起用はその辺りを睨んだものであろう。また、アニメーションもシュールで、インターバル的に流れていいアクセントになっている。
現基礎、ぶっといなど、読売テレビで伝説の深夜番組を手掛けてきた倉本美津留。新たに笑い飯というパートナーを得て、「どエンゼル」はその伝説に成りうるのか、そして、あのごっつを超える存在になるのか。関西の土曜深夜に注目である。ちなみに今週は野球でお休み。

バルーンボンバー

バルーンボンバー
80年/タイトー。シューティング。
風船に吊り下げられた爆弾を撃つ。爆弾はゆらゆらと揺れている。爆弾を撃てればいいが、風船に当たると爆弾が落ちてくる。その落ちてくる爆弾を撃てないと、地面に穴が開き、自機の移動を妨げる。実に巧妙な、実に厄介なシューティングである。
落ちてくる爆弾のほうが得点が高いが、撃ち損じて自機に当たるともちろんアウトだし、避けたとしても地面に穴が開いて移動できなくなる。
確実な射撃が必要で相当な技量を要求するゲームである。私は苦手だ。

F1第1戦オーストラリアGP

しばらくモータースポーツから離れていたが、今年のF1を久々に見て、各マシンのデザインにかなり有機的なものを感じた。特にフロントウイングの辺りを正面から見ると、様々な曲線から形が構成され、甲虫や蝶の羽を彷彿とさせる。
2005シーズンの大きなレギュレーション変更は、レース中のタイヤ交換禁止、2GPで1基のエンジンを使用、決勝直前の予選、である。ドライバーは、以前に増してマシンを労わる走りを要求される。
FIAは、ずっとスピードと予算の抑制を掲げてF1のレギュレーションをいじくっているが、今年はそれが如実に現れたと言える。だが毎年毎年レギュレーションが変わると、それに対応する予算が増えて結局は金がかかることに変わりはないと思うのだが。
さて、開幕戦だが、レギュレーションの成果というか、往々にしてレギュレーションというのは改悪なのだが、マシンに無理をさせられないために、各ドライバーが慎重な走りを余儀なくされ、オーバーテイクが少なくなった。これは観ていてつまらない。一昔前のF1に逆戻りだ。これはヴィルヌーヴやモントーヤなど、アドレナリン型のドライバーには不利だろう。
ピットストップは妙な光景だ。相変わらずクルーはマシンの両サイドにいるのに、みんな何もしない。タイヤ交換はないが、タイヤの内圧を変えるという調整を行っているようだ。これは今までになかったと思う。タイヤの圧力も、微妙ではあるがマシンのコントロールに影響する。だから結局こういうところで金が使われるわけだ。
結果はフィジケラの優勝、ルノーの1-3フィニッシュだったが、開幕戦という性格上、やはりどのチーム、ドライバーも様子見という印象が強い。
しかし、今年のレギュレーションは、特定のドライバーが勝ち続けるといった状況を打破し、チャンピオンシップを混沌に陥れる可能性を秘めている。さて、この結果はどう出るだろうか。

大阪の小劇場事情

年に数回とはいえ、芝居を観に行くようになると、大阪にいかに劇場が少ないかがわかる。
関西小劇場のメッカと呼ばれたOMSは閉鎖、そのOMSと公演数を二分していた近鉄小劇場も閉鎖になった。近鉄は球団といい劇場といい、関西の文化発展に寄与するどころかどんどん足を引っ張っている。企業として何らかのペナルティは科してしかるべきだ。
以前、某女優さんの個人サイトのBBSに、もっと大阪に来てください、と書き込んだところ、地方公演は打てば打つほど赤字になるとおっしゃっていた。
確かに、劇団員や装置の移動経費はそのまま売り上げから消えるわけで、本拠地公演と比べると利益率は下がる。地方公演に腰が重いのも当然だ。おまけに、効率よく集客できる劇場が減っている現状では、尚更やりにくいだろう。
財政危機がマジでやばい大阪市も、一応この状況はまずいと考えているらしく、難波のど真ん中にある小学校跡を小劇場としてオープンさせた。まだオープンしたばかりだが、立地は絶好なのでこれからに期待が持てる(精華小劇場)。
さて、毎年本当に楽しみにしているシティボーイズだが、今年は絶好の席が確保できた。最近だんだん視力が落ちてきて、乱視もかなりひどくなってきたので、今年こそはまともに観劇できることと期待している。