終始クールな映画だった。そういえば、ソニィもタブスも笑ってなかった。あのテレビシリーズを期待している人は、観ないほうがいいかもしれない。
だが、ジートもトルーディもジーナもスワイテクも、警部はだいぶふっくらしたが、懐かしい名前がみんな揃っていて、明らかにこれは「マイアミバイス」なんだと教えてくれる。それに、マイケル・マンが撮っているのだから、何の文句があろうか。
ファーストカット、仕掛けはまったくなく、普通にすっと入る。まるで先週の続き、みたいな感じだ。
フィックスショットがなく、ハンディの映像がほとんどだ。銃撃戦シーンではよくやるが、全編通して使うのはかなり珍しい。スクリーンから距離を置かないと酔う客が出てきそうだ。
ガンアクションも小出しだが密度は濃い。いきなりバレットM82ときた。腕がもげるぜ。
ハンドガンを使用するシーンがあまりないというか、撃ってない。ちょっとくらいあってもよかった。
タブスはグロックっぽかったが専門誌によるとスプリングフィールドXDだそうだ。現物を見てもコピーにしか見えないので無理もない。ただし、トルーディ救出のときの公式サイトのスチールを見ると、ジェリコっぽい丸みを帯びたフレームが見える。
ソニィはステンレスの45っぽいオートに見えたが、インフィニティというカスタムメーカーの銃らしい。出動前にスライドとフレームをかちゃかちゃ擦り合わせるシーンもある。このへんのこだわりがガンマニアとしては嬉しいところだ。
さて、銃声だけが響くお得意の銃撃戦。音はさすがだ。マイケル・マン以外にはできない芸当だ。脇扱いのタブスがお約束のショットガンで敵のリーダーを撃ちぬく。スラグだ。
ジーナがHK・G36Cでヘッドショットを決めるシーンもなかなかだ。トルーディが人質に取られて首に爆弾を仕掛けられ、起爆装置を持った犯人と対峙。この銃で頭をぶち抜くとお前は指を動かす間もない云々と言って、犯人が答えようとした瞬間に撃つ。セオリー通りのアクションはさすがだ。
一般ウケしない映画だが、アメリカの刑事ドラマの最高峰には違いない。雷鳴が轟くマイアミの街。犯罪に立ち向かう刑事たちの怒りなのか、それとも。