ポータブルロック 「ダンス・ボランティア」

80年代も後半を過ぎると音作りはすっかり電子化して、テクノポップの音楽ジャンルとしての境界線はかなり曖昧になってきていた。ポータブルロックも、分類上はテクノ系らしいが、充分立派なガールポップである。
鈴木智文、中原信雄という80年代ニューウェーヴを支えた二人が、キュートなヴォーカル野宮真貴を擁して日本のミュージックシーンに挑んだ。「ダンス・ボランティア」は、ポータブルロックの2枚目のアルバムである。
全曲を通して、詞が秀逸である。ガールポップにありがちなべたべたした内容ではなく、この時期にしては珍しい女性上位で、微妙に揺れ動く細かな心情が描かれている。今にして思えば、これが野宮真貴のキャラクターの確立ではないだろうか。
曲も一段と洗練され、緻密な音作りは野宮の透明感あるヴォーカルと相まって、ポータブルロックの完成形ともなった。
折りしも世間はバンドブームが盛り上がっていく頃であったが、ガールポップにはあまり寛容ではなかった。商業ベースに乗れなかったバンドは次々と沈み、ポータブルロックもその憂き目にあってしまった。
がしかし、私にとっては意外な形で、もう一度野宮真貴の声を聴くことになる。それはあまりにも衝撃的であった。
32JC-235 JAPANRECORD 19870625

みかつう

ツイッターは@crescentwroksだよん

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