北斗の拳

この作品のために、我が家にビデオデッキの導入を急かしたのは事実である。まだハイファイが高級機だったころの話だ。テレビコードギリギリで破裂する敵の様子をぜひコマ送りで見たかったのだ。しかし、よくもこんな作品をゴールデンタイムに放送していたものだ。今なら不可能に違いない。
確か当時、スプラッターホラーのブームが来ていたような気がする。内蔵飛び散るあれである。まさか北斗の拳がそのブームに乗ったわけではないだろうが、相手を殴って倒すのではなく、秘孔を突いて内部から破壊するという発想は素晴らしい。リアル志向で勧善懲悪ものが減っていた時代、これだけ完膚なきまでに悪を倒すケンシロウの姿は勇ましかった。
作画も東映動画だけあって常にハイレベルに保たれ、見やすい作品になっている。加えて、神谷明の起用は他に選択肢がないほどピッタリであった。この作品は彼の代表作の一つにもなっただろう。
199X年はとっくに過ぎたが、今なお沸々とどこかで噂を聞く、北斗の拳である。あたぁーっ。