イッセー尾形のとまらない生活2007in京都

いつも公演は金曜日に行くので、何の気なしに金曜日に丸をつけてハガキを出した。
出してからよくよく考えてみると、その日はシティボーイズと重なっていて、もうチケットも取っていたのだ。
こりゃいかんとメールで希望日変更の旨を告げると、土曜日のチケットが送られてきた。いや、ありがたい。端っこだけどね。

・モルディブのギャル社長
絵のモデルをしている女性。社員旅行で来ている社長だという。
社員が気になってやってくるが、なぜか頑なに別行動を要求する。そのうち社歌まで歌いだす。
絵のモデルとは少し古臭いような。

・離島のタクシー待合所
皆既日食で離島にやってきた人達を迎える運転手。スピード違反で免停中。
島に二台しかないタクシーを待つ間、夢の話で盛り上がる。
方言ものは真骨頂。

・新人ホテルマン
音楽を聴きながらノリノリの新人ホテルマン。客から寒いというクレームが。
先輩の当てにならないアドバイスで対応するが、事態は好転しない。
そのうち客と意気投合し、いろいろ話をする。
今どきの若者ネタは今一つが多かったが、これはかなりいい。
どうも続きものらしいが、言葉足らずながら一生懸命対応する人物像に好感。

・断食道場
断食道場で若者に混じって一人気を吐く55歳。
断食の影響でだんだん壊れていく。最後にはとうとう痙攣が。
テンションで最後まで持っていくパターン。男の壊れ方がいい。

・けんたとおじいちゃん
孫と公園へ散歩にやってきた老人。なぜか人当たりが悪く、文句ばっかり言っている。
一人気を吐くものの、他人の優しさに触れて戸惑う。
傍若無人な老人キャラと、動きで見せた最後のシーンがよかった。

・迷子
巨大ショッピングモールに出店している化粧品屋。そこで働く女性。
迷子の女の子がやってきて、最初は邪険に扱うものの気になって相手をする。
短いネタだが、複雑なシチュエーションをよく表現している。

・ものまねサラリーマン
会議室へ呼び出された男。重役がずらっと揃っている中、社員のものまねをしろと言われる。
相手先へ謝りに行くためのシミュレーションらしいが、適当な人物がいない。
最後に自分の言葉で謝るが一番ダメだと言われる。
珍しい不条理ネタ。たくさんのキャラが出てくるのでかえって難しいかも。

・老ミュージシャン
デビュー77年の記念公演。30でデビューしたので御年107歳か。
看護婦さんに一日三曲しかダメだと言われているので三曲でおしまい。
歌ネタは、完全に歌披露のネタになってしまった。

全部新作だが、以前に比べると設定が複雑になっている気がする。
タイトルを付けるときにそう思うのだが、今までのように役職やキャラだけで付けられないのだ。
設定が複雑だと、それを分からせるのに時間がかかり、ネタに影響しかねない。客にも相当なスキルが要求される。
とはいえ、今まで観てきた中で今年が一番面白かったので、新ネタの試みは成功しているのではないだろうか。
まだまだ、イッセー尾形はとまらないようだ。
May.12,2007 京都府立文化芸術会館

シティボーイズミックス・モーゴの人々

チビ共の子守がてら、梅田へ向かう。昼飯を食い過ぎて今年はオムライスはパス。
3列目だが遥か下手、今年もスピーカー前。まあ、贅沢は言うまい。

・私の辞書
ずらりと並んだ出演者。辞書を片手に椅子に座っている。
例を挙げられると、自分の辞書に載っている言葉を読み上げる。
ゆうじさんの、微妙-腹七分目にハマる。

いつものオープニング、今年は生バンドが下手高台に。

・マイケルジャクソン
コンビニでマイケルジャクソンに会わせてやると言われ、意気揚々の二人。
あれこれ想像して盛り上がるが、なかなかマイケルは来ず、仲介している男は風邪で帰ってしまうわ、相席で席は埋まってしまうわで大混乱。
斉木さんのスカした咳払いにハマる。

・雁首クラブ
首枷をはめた、雁首クラブの四人組。雁首揃えてどんなトラブルにも謝りまくる。
今年のハマリネタ。

・石井さん祭り
普通の石井さんに憧れる町の人々。石井さん祭りをやろうと盛り上がる。しまいにはパレードまで。
体育座りができない斉木さんに執拗に絡む大竹さん。今年一番の大爆笑。

・悪口会議
とことん悪口を言い合う会議。当然最初に槍玉に上がるのはきたろうさん。

・保
自由人の保。友人の家へ居候して、周りを困らせる。バランのスーツを着こなし、そのうち劇団をやると言い出す。

・宇都宮さんのカラ元気
リストラを言い渡された宇都宮さんをみんなで励ましに家に行く。
テンションを上げてしばらくカラ元気に付き合うが、やはり宇都宮さんは落ち込む。
珍しくセットを破壊しまくるコント。ゆうじさんのパワー恐るべし。

・モード談義
最先端らしい三人組がモード談義に花を咲かしていると、斉木レスラーが乱入。
業界言葉を揚げ足取りまくり。斉木さん序二段の相撲取りみたい。

・その門をくぐれ
待ち合わせにやってきた男。なかなか門をくぐる勇気がない。
そんな男のもとにいろいろとやってくるキャラ。
なぜか最後は劇団四季風。

・カーテンコール
今年はちょっと長めにおしゃべり。
大阪の初日と東京の初日は違うとかどうとか。珍しく客いじり、大竹さんすかさず雁首クラブ。
斉木さんがバンドを紹介して今年は終わり。
また来年かー。真ん中でみたいなあ。
May.11,2007 大阪:シアタードラマシティ

演劇づいてるなあ

シティーボーイズとイッセー尾形を続けて観劇するというのもなかなかだ。記事はいずれ。
何度も言うが、舞台はいい。互いのアクションがダイレクトに伝わるのがいい。
7月にはさんまさんの舞台を観に行く。あまり席はよくないが、笑いの神の舞台を観に行くのだ。
志村魂は名古屋止まり、来年はぜひ関が原を越えて大阪に来てもらいたい。
というわけで、しばらく金欠なのだ。

竹中直人の匙かげん2「そう。」

ロフトの並びにあるホテルが解体されていた。けっこう大きなホテルだったように思う。移転したのか廃業したのかはわからない。
いつものオムライスではなく、いつもの西天満の吉野家で鍋を食った。晴れ着姿もちらほら見える新御堂筋を北上し、今年初の観劇は竹中直人の匙かげん2だ。
前回、正直評価に戸惑った作品だっただけに、今回も不安がいっぱいだ。しかし、倉本美津留脚本ということで多少払拭される。
5列目だけにちゃんと観たい。
オープニング、スクリーンに満月が映し出される。幕が開くと、黄色いおもちゃのようなセットに、おもちゃのような衣装の役者。正直、あれっと思った。
意外な軽さに戸惑った。竹中さんはじめ、男5人が舞台に揃う。みんなフィギュアのような衣装だ。
話が進んで、女性陣登場。全員白いフリフリのドレスだ。高橋ひとみはさすがの存在感である。結局笑いどころを全て持っていったような気がする。
井川遥も、ただのヒロインでは収まらず、受け口で喋ったり三の線をかじっていた。坂本美雨は、あの坂本美雨で間違いなかった。劇中の生ピアノが素晴らしい。実は1980年生まれで、私がYMOに狂っていたころには既に生まれていたのだ。もっと若いと思っていたが。
金子さやかの熱演が際立った。途中、ドキッとするようなお色気シーン(古)もあったりして、なかなかよかった。
倉本さんお得意の天使がモチーフとなって、幻想的に話は進む。しかし、笑いどころはあまりなかった。それは期待し過ぎていたからかもしれない。
私は、竹中直人の舞台に何を求めているのだろうか。はっきり言えることは、今回の作品でもそれは満足していないということだ。
竹中さんは昔から大好きだし、尊敬している。生で舞台が観られてこんなに嬉しいことはないが、私はその他に何を求めているのだろうか。
その答えは、3で出るのだろうか。
Jan.8,2007 大阪:シアタードラマシティ

イッセー尾形のとまらない生活2006秋の新ネタin京都

席に当たり外れがあるように、客にも当たり外れがある。席がいいときは決まって客が外れる。
私は一人芝居という演劇を観に来ているつもりだが、客の中にはお笑いを観に来ているつもりの客もいる。つまり、笑いに来ているわけである。
笑いに来ている客は、笑いの体勢ができているので、ちょっとのことでも声を出して笑ってしまう。まあみんなが笑うのは仕方ないが、一人だけ外れたところで大笑いする客がいる。これは非常に気になる。
我慢するなとは言わないが、台詞が聞こえなくなるほどの声は出さないでほしいものだ。できれば我慢してくれ。

「説明会」
往年のネタである。教習所かなんかの説明会会場、マイクを持った教官らしき男が場を牛耳る。小さな世界を仕切る優越感に浸る男のおかしみを描く。ビデオで何度も観た懐かしいネタだ。
「医者の改築」
懐かしいネタが続く。家を改築している産婦人科医。建てている様子を見に来るが、設計と違う箇所に気づき、現場の大工に言い寄る。医者の年齢がちょっと上がったような声になった。作った声はやや違和感あり。
「出張先にて」
キャラメイクのときにもしやと思ったが、ネタは違った。キャラはあの「ヘイ!タクシー」のサラリーマンである。出張先で車が故障、ガソリンスタンドのオヤジに直してもらっている間の時間をシュールに描く。生で観たいな「ヘイ!タクシー」。
「元中華屋」
中華料理屋に入ってきたのは、隣で工事をしている解体屋の男。自分が実は元中華屋だと言って、身の上話をする。こういうブルーカラーはイッセーさん十八番。
「修学旅行」
京都へ修学旅行にきた広島の学生。駅で集合しているときにいろいろやらかす。客に迎合したネタは残らないよ、イッセーさん。
「弦楽四重奏」
音楽ネタでありながらなかなかプロットがよくできている秀作。保育園の謝恩会に呼ばれたチェロ奏者、しかし他のメンバーがまだ来ていないので、時間を持て余してついつい。
「ベランダライブ」
近年の傑作と誉れ高いネタ。ベランダで一人ギターを抱えて歌うサキちゃん。友達を見つけては声を掛けるが寂しくあしらわれる。歌ネタが二題続いたので、このネタのキャラメイクのときにイッセーさんが「挨拶なしでアンコール」と言っていた。

今年で25周年、最初の二題は私が高校生か大学生のときに観たものだが、未だに色褪せない。21世紀になって、世の中もだいぶ変わった。昔の世の中より、今のほうが面白くないと思えるのは、私だけだろうか。
しかしイッセー尾形は、まだまだとまらない。
Sept.29,2006 京都府立文化芸術会館

新喜劇ボンバー#4

新喜劇は去年初観劇を果たしたが、一般の劇場だったのでいわゆる吉本の小屋には行ったことがない。お笑いの聖地、NGKにいよいよ足を踏み入れるときが来た。
入場まで間があったのでお土産コーナーをうろつく。チの絆創膏があったのでお土産に。
エスカレーターを上がるとすぐに劇場ロビーだ。トイレを済ませてから劇場に入る。
意外と狭いような感じがした。勝手に大きなイメージをつくっていたからかもしれない。劇場としては大きいほうだ。二階席があるので天井が高い。下手最前列に着席。手を伸ばせば舞台に手が届く。
そして見慣れた緞帳。そうだ、まだ漫才は生で観たことがない。レギュラーの公演もそのうち行ってみたい。
ミサイルマンが前説に出てきた。デブとヤセのわかりやすいコンビだ。一通り客席を温めると、新喜劇ボンバー開幕である。
二部構成で、前半はボンバー名人会と銘打って新人芸人のネタ披露になっている。川端さんとランディーズ高井のMCで進んでいく。
花歩ちゃんが出てくるとほっとする。さすが宝塚出身、華麗なダンスを披露してくれたのだが、今別府が乱入、客席に戦慄が走る。
しかし、今別府はかなりやばい。人気が出てきているのだ。吉本上層部の対応を期待したい。
中説後、いよいよ新喜劇ボンバー上演である。新喜劇は基本的に中央やや上手よりで芝居が進行するので、下手よりの席ではやや見えにくい。
それよりなにより、花歩ちゃんのメイドコスに萌え~である。もちろんあの二人もメイドコスで出てきた。
ゲストはサバンナ。高橋は芝居にも加わり、犬井ヒロシもやってくれた。八木は出てこないのかと思ったら、最後にキャプテン有酸素として登場。キャプテンボンバーVS有酸素運動マン、夢の対決である。
きんに君はまたチーズバーガーを喉に詰まらせ、大事な決め台詞を噛んでしまう。うーん、ウケたからいいようなものの。
きんに君の座長は相変わらず頼りないが、興行的にはうまいこといっているようだ。
最終回はHGとの対決を期待しているのだが、なんとか観に行きたい。

シティボーイズミックス・マンドラゴラの降る沼

例年この季節は蒸し暑く不快なのだが、今年はやや肌寒い。雨も上がってすっきりした感じだ。オムライスで腹ごしらえをして劇場に向かう。
6列目、上手スピーカー前。最近どうも端っこが多いが、意外と観やすい。
・次の一瞬
山登りをしていた5人、崖から落ちそうなところで時間が止まっている。マネキンの様子を見ながらどうやったら助かるかを考える。あれこれ相談するが結局まとまらない。そのうちにあーっ。
・オープニング
今年はモンティパイソン風。音楽はスチャダラパーのシンコ。ラジカルつながりか?
・事情聴取
殺人事件の捜査で、ビデオを見せてくれと刑事がやってくる。そのビデオとは、現場近くの公園で行われていた前衛劇。その内容にいちいち噛んでくる刑事。冷やかしの笑いが広がる。
・人間大砲
宴会の余興で人間大砲をやることになったが、いざやる段になって躊躇する。わざわざベルギーから大砲とスタッフも呼んだが、一向にやる気がない。銀粉蝶さんが太鼓を叩き損ね、みんな慌てる。
・原子力推進委員会
原子力発電のPRイベントの成果を報告している。身内だけで盛り上がり、市民には絶不評。最後に民話風の小芝居。警報の着信には笑った。
・柏木さん
いろんな人にプレゼントを渡しまくる柏木さん。迷惑だからみんなで言いに行こうとするが、関係ないせいこうさんだけが残される。
・生わかり
物事を中途半端に理解して得意げに説明しようとする生わかりを楽しむ。しっかりした人が来るとダメ。
・サドルバー
同窓会で初恋の相手と盛り上がり、二次会で向かった先はサドルバー。太ももぱんぱんの客ばかり。
・ナイアガラ会長とネガティブ婦人
キャラもの。脇からドライアイスを撒き散らすナイアガラ会長と、何でもネガティブに考えるネガティブ婦人。会長は私のすぐ横の扉から登場。端っこでラッキー。大竹さんが珍しくトチる。
・とおりゃんせ
刑事が見せてくれといったビデオの前衛劇。まったく、若さって奴は。
・エンディング~次の一瞬その後
とうとう崖から落ちてしまった5人。まだ死んでない。それでもなんとかしようとする。走馬灯のように本日のコント内容。みんなで温泉にいくことにする。一瞬の永遠、永遠の一瞬。
・カーテンコール
いとうせいこうさんは5年ぶりということで、実は舞台では初見。でも散々昔のビデオを観ていたのでそんな感じはまったくなし。久しぶりだが、やはり老体三人組をまとめるのはせいこうさんしかいない。銀粉蝶さんは出番が少なかったような気がする。しかしさすがは女優さん、存在感は抜群である。
さあ、一年で最も楽しみな時間が終わってしまった。次回の舞台に思いを寄せて、また一年過ごすことにしよう。
May.11,2006 大阪:シアタードラマシティ