ナイロン100℃ 28th SESSION。
松永さんは出ていない。他の芝居の客演があるらしい。初めて観る全体公演なのに残念だ。
ナイロン100℃が好きだといいながら、まだ二度目の観劇、前述したように全体公演は初めて。つまり、松永さんのいるナイロンが好きなわけで、観劇のためにお金を出すことができるのがナイロンということだ。
開場はIMPホール。収納ができるシートなので一見すると作りが甘そうだが、座り心地は悪くない。何より足元が広いのがいい。
客層は女性8、男性2といったところか。その少ない男性客がちょうど舞台中央を遮る位置にいる。二列ごとに段差のある会場だが、残念ながら私の列は段差のない列。不運だ。
オープニングが面白かった。スクリーンを立てずに放映しているのでミスったのかと思っていたら、セットの造形を生かした構成になっていて、実際にそこに人がいるような不思議な感覚だ。
松永さんと犬山さん以外、ほとんど名前と顔が一致しないが、それぞれキャラクターがはっきり演じられているので混乱はなかった。後で確認したら、ほとんどのキャストが二役を演じていたのには驚いた。まったくわからなかったのだ。
もしかするとナイロンで一番顔が知れている大倉さんが、大きなツッコミで笑いどころを締めていく。さすがみなさん声がいい。男性はメリハリがあって、女性は艶っぽい。犬山さんは別として。
10分の休憩を挟んで、三時間を越える公演。時間を感じさせず集中して観劇できた。二度目のカーテンコールでケラさん登場。9年前の初日は全くウケずにかなり落ち込んだそうだ。
大阪の印象はあまりよくないのかもしれないが、そんなときは今日の拍手を思い出していただきたい。
May.4,2006 大阪:IMPホール
カテゴリー: 演劇
イッセー尾形のとまらない生活2006春の新ネタin京都
早々にお知らせが届いたが、観るつもりはなかった。
シティボーイズとナイロン100℃の公演が立て続けにあって、とてもお金が回らない。去年の秋にも観ているので、今回は見送るつもりだった。
チケットの発売日が近くなった頃、もう一度お知らせの往復はがきがきた。ちょうどそのとき、懐に余裕があったので、なんとなく流れで申し込んだ。だが、届いたチケットは後ろから二列目。正直、ちょっと損した気分だった。
当日、いつものように開場後早めに入ると、キャンセルが出た前のほうの席と交換しましょうと言われた。これはラッキー。13列目から9列目になっただけでなく、9列目はちょうど一段高い位置にある。見やすい。
「フラワーホームの老婦人」
老人ホームから抜け出して美容院にやってきたオシャレな老婦人。店員を軽くあしらいながら昔話を始める。
肩に掛けているストールが玉のれんみたいだった。お高くとまった婦人はお得意なイッセーさんだ。
「コンビニ」
ファミマ風のコンビニでバイトしている今時の女の子。姉の彼氏が依頼した素行調査の探偵に怯える。
探偵に怯えるくだりの破綻具合が面白い。キャラもかなり破綻しているが。
「旗振り」
工事現場の交通整理。赤旗を忘れた相方にてんやわんや。
ショートネタ。お互い離れているので意思の疎通ができず、次々とトラブル発生。挙句に職場放棄、あーんど自分リストラw
「バーテン・年の瀬編」
おなじみバーテン。年の瀬のひとコマ。
そういえば、バーテンを生で観るのは初めてのような気がする。もっとも、ビデオで何度も観ているのでそんな感じはしないが。もうちょっと観たかった。
「乱入男」
ボクシングのリングに乱入した若い男が、自分を取り押さえた警備員の家に赴く。
シチュエーションがよくわからない。プロットもやや奇をてらい過ぎた感が否めない。
「大家族・再就職編」
ご存知大家族シリーズ。前回失業したお父さんが、今度はハローワークで再就職に。やがて子供たちや内山さんが現れて・・・
成長するシリーズコント。最後に遊覧船の副船長とか言っていたが、来年はどうなるんだろうか。
「フレデリック」
秋田犬のフレデリックを偲ぶ初老の男性。ウクレレ片手にレクイエム。
歌ネタは昨今笑わせることより聴かせることに重点を置いているような気がする。個人的には津山ひろしみたいなネタが観てみたいのだが。と前回も同じことを書いているのに気づいた。
年一回ペースの公演なので、となるともう来年まで観られないことになるのだろうか。やっぱり観てよかった。
吉本新喜劇ファン感謝祭2005
関西に生まれ、吉本のお笑いで育てられたが、新喜劇の生の舞台というのは今まで観ていなかった。念願の初観劇である。
風邪気味で咳が出るので、のど飴持参で劇場へ行った。かつて劇団四季が使っていた小屋である。
席はB列のほぼ真ん中だったが、A列が音響の都合で押さえられていたので事実上かぶりつきである。NGKではこうはいかないだろう。
今年、吉本新喜劇が行った金の卵オーディションで合格した二人が前説に立った。テレビ放送があるのでカメラが入る。そして、緞帳が上がった。あの音楽とともに。
パッと目の前に書き割りが広がった。新喜劇の芝居が始まるのだ。続々と役者が登場する。新喜劇メンバー総勢62名が登場するオールスターキャストだ。こんな舞台を最前列で観られるとは。笑いとも感動ともつかない涙がこぼれる。
桑原師匠はちょっと調子が悪そうだ。石田靖はMAXの蹴りやドツキを見せてくれた。さすが新喜劇の破壊王だ。竜じいはなんと宙吊りで登場。無茶さしよる。めぐにいはやっぱり小さかった。やすえねえさんはとても45には見えないし、由美ねえも小ぢんまりしてきれいな人だった。アゴ元さんはそれほどアゴ出てなかった。きんに君もちゃんとアップアップしてたし、HGは一番拍手と盛り上がりが大きかった。さすが。高橋靖子ちゃんはとても一つ年上には見えないかわいさと清純さがむんむんだった。島木さんはさすがの大迫力。かぶりつきでパチパチパンチはもう観られないだろう。
3幕構成で、地上に迷い込んでしまった七福神と町の人々が巻き起こすドタバタが大まかな流れ。2幕の冒頭に若手役者が流血するハプニングもあった。
2幕と3幕の幕間に、「はい、そこのおにいさん」と青野さんに松下笑一がつくる風船のお題を求められてしまった。彼のネタは知っていたので、とりあえず「ドラえもん」と答えておいた。もうちょっとボケたほうがよかったか。
たっぷり二時間の舞台、一年分どころか、十年分くらい笑わせてもらった。こちらこそ感謝である。
この舞台は、来年1月3日MBSローカルネットで放送される。もしかすると、帽子を被ったシルエットで右隣に誰もいない影が映ったら、それは私だ。
イッセー尾形のとまらない生活2005IN京都
土日に仕事があるので、チケットは金曜日の公演をとるのだが、今回予約してから金曜日が祝日なのに気づいた。できれば心身ともに万全の体制で観劇したいのだが、少しばたばたしてしまった。風呂で汗を流す時間がとれたのは幸いだ。
「占い師」
とある会社の前で占いをしている男が、お金の入ったその会社の名前入りの封筒を拾う。警察に届けるのだが、中に入っていたのは190万円という中途半端な金額。その金額がどうしても気になり、自分が10万くすねたわけではないとその会社に言い訳をしにやってくる。
いつもながらその着眼点には驚かされる。占い師のキャラが完成されていて、ストーリーも自然な展開で入り込みやすかった。190万に執拗にこだわって自己嫌悪に陥る状況が面白い。
「注文の多いステーキハウス」
ステーキハウスの閉店後、マネージャーが反省会を開く。何も意見が出ないので、自分が気づいたことをどんどん注意する。営業が始まり、客の注文をとるマネージャー。凄まじい注文の変更や、いろんな客に対応していく。
反省会がネタ振りになっていて、営業時にそのネタで笑わせる。笑いをとる用のネタになっていて、どっかで見たことのあるキャラだが舞台狭しと動きまくる。
「イベント屋」
茶髪にロン毛の三流イベント屋が、イベントの失敗を敏腕プロデューサーに説教する。
ショートネタ。こういう若者を演じるとき、最近はどうもギャップを感じる。イッセーさんとのギャップというより、むしろ私とのギャップかもしれない。
「夢見る少女」
ライブハウスのようなところ。掃除をしている店員の少女(?)。舞台に立ててあったマイクが生きていることに気づいて、そこで単独ライブを始めてしまう。
モデルは桃井かおりさんか。架空のMCでどんどんエスカレートしていく。
「夫殺し」
取調べを受けているセレブ風の中年女性。夫殺しの状況を尋ねられる。反省している様子は全くなく、淡々と話す。
お高くとまった口調と取調べというシチュエーションのギャップが笑わせる。
「大家族・失業編」
お馴染みのシリーズ。父が失業して三ヶ月だが、子供たちがバイトに行きだして、相変わらずの幸せ大家族。心配して内山さんもやってくる。仕事の話をしているうちに、また仕事に行くと言い出す。
大人数を転がすのは大変なのだが、それをさらっとやってのけるイッセー尾形の真骨頂ネタ。
「山田蜃気楼IN魚津」
ストリートミュージシャンの山田蜃気楼、ふらっと魚津にやってきて、ラジオの公開生放送に出演する。
歌ネタ。今どきの若者らしい受け答えや、魚津の情景も目に浮かぶ。最近の歌ネタは歌を聴かせる方向にいっているような気がする。津村ひろしのようなバカネタも観たい。
今回は全て新作だそうだ。最近はワークショップで集団芝居が多いので、一人は伸び伸びできるから楽しいとおっしゃっていた。イッセー尾形、まだまだ全開である。
シティボーイズ「メンタル三兄弟の恋」
去年は蒸し暑かった。今年は前日まで気持ちのいい晴れの日が続いていたが、当日になって雨が降った。また蒸し暑くいやーな天気である。
それにもうひとつ、次の日に新しい職場デビューが決まっていて、そのことを考えると気が気ではない。なにやら複雑な気持ちでいつものようにオムライスを食べて劇場に向かった。
4列目、舞台が近い。たぶん演者の顔がはっきり見えるはずだ。いつもこれくらいで観たいものだ。
・メンタル三兄弟~オープニング
それぞれに妄想を抱いている三兄弟。みんなにばれないように必死だ。長男は自分がホログラムではないかと、次男は家を支えているヨシダさんのこと、三男は振り付け。冷凍庫のご飯をいつ食べるかで話し合う兄弟。オープニングはいつもの映像。音楽は「真空報告官P」以来二度目のBHB金子さん。ラジカルさがなくちょっと残念。映像にも元気がない。
・パッションショー
回転寿司屋。この店に足りないのは客とパッションだと、職人みんなでどういうパッションがいいか話し合う。二コール・キッドマンや不動明王など、後々の伏線もある。しかしゆうじさんは和風がよく似合う。
・予期せず余った時間を使う法
要は暇潰しに明け暮れるサラリーマン。謎の手芸集団が花を添える。
・武装サラリーマン川柳
セットはそのまま、武装サラリーマンのゆうじさんが舞台狭しと暴れまくる。もはや老年の域に達しようとしているシティボーイズの舞台には欠かせない。川柳の出来はそれほどでもなかった。
・カウンセラー
自殺願望の男性が精神科に赴くが、そこにはなぜか三人のカウンセラーが。足を引っ張り合う三人。ろくなアドバイスもせずに男性を帰す。
・ニコールキッドマンショー
パッションを求めて開かれるニコール・キッドマンショー。「だから死んでもやだっつったろ!」と大竹氏。
・スキル王とメンタル王
旅人が決壊寸前の堤防を見つける。そこに現れたスキル王。自慢のスキルで堤防を直そうとするが、プレッシャーに負けてしまう。それを見ていたメンタル王、プレッシャーなどなんのそのだったが、堤防を直す方法がわからずこれもだめ。続いて虎に食われそうな旅人登場。スキル王やはり何もできず、メンタル王はなんとか救い出すが食われてしまう。だったかな。
・リフトの詩人
トラブルで停まってしまったリフト。取り残されたのは三人の詩人。彼らには詩を詠むしかない。「お前の背中は小作農」
・逃げた警官
お台場で実際にあった、凶悪犯に背中を向けて大逃げしてしまった警官の話。そのまま熱海まで逃げて温泉旅館に泊まっている二人の警官。テレビをつければあの映像ばかりが流れる。意気消沈の警官。こういう題材の取り方は珍しいが、時事物はタブーのような気がしないでもない。
・メンタル三兄弟再び~エンディング
家を支えていたヨシダさんは家族と家を離れた。それぞれの妄想にふける三人。メンタル三兄弟よどこへ行く。エンディングはいつものトーク。今回は斉木さんが大トチリ。早速突っ込まれる。「逃げた警官」のテレ東のくだりは関西ではまずわからない。あれは、テレビ東京という放送局が、社会の重大事件そっちのけで全くプログラムの変更をしないということを知っていないと笑えない。のろま会の使い方にちょっと疑問。
・不動明王ショー
今年の斉木さんのキャラ。エンディング後のオンステージ。しかしみんな歳を取ってしまった。あと何年観られるだろう。みなさんお身体を大切に。また来年もお会いしたい。
May.12,2005 大阪:シアタードラマシティ
ナイロン100℃ 23rd SESSION フローズン・ビーチ
ヒッチコックライクなオープニングで幕は開けた。
5月のシティボーイズ公演で犬山犬子が客演をしていて、エンディングでこんな芝居をやると宣伝されていたので、観に行った。実は、それだけが理由ではない。
松永玲子という女優がいる。「松尾貴史の人格懐疑室」という芝居をテレビで観た時、やたら声の艶っぽい、おまけに身体もちょっと色っぽい女優が出ていた。それが松永玲子だった。それ以来、なんとなく気になっていたが、しつこく後を追うことはなかった。
フローズンビーチのチラシに、その松永玲子の名前があった。ん、これは観に行くか。というわけである。
お笑いでない舞台を観るのは実はこれが初めてである。というより、観劇そのものの回数もまだ浅い。近鉄小劇場は文字通り小さな劇場で、男が二人隣り合おうものなら肘の置き場は全くない。舞台中央、比較的前よりでなかなか好位置での観劇である。
フローズンビーチは、女優だけ4人の芝居である。しかも、今回は再演らしい。演者にとってはやり慣れた芝居なのであろう。
松永玲子は姉妹の役を二役、アクの強い役である。しかも、いきなり下着姿が拝めてしまった。おおっ、という感じである。主役の女の子がかわいいなあと「ドレミファ娘の血は騒ぐ」を観に行ったときの胸騒ぎに近いものがあった。終盤にはなんとなんと、水着姿までご披露である。やはりというか、めちゃめちゃグラマーである。ご自身のウェブサイトで”脱衣女優”と形容されていたが、まさにその通りである。
難解なダイアローグもなく、プロットも素直で非常に観やすい芝居であった。もちろん、他の女優陣も個性的で素晴らしい舞台だった。
残念ながら、これ以降ナイロン100℃の全体公演や松永玲子客演の芝居を観るには至っていないが、私のプロフィールの欄に好きな舞台女優の項目が増えたのは言うまでもない。
Aug.2,2002 大阪・近鉄小劇場