蹴上からトレイルを通って山科の毘沙門堂へ歩いていたときのこと。
アップダウンが終わって、平坦な山道を歩いていると、向こうから一人の中年女性が歩いてきた。
とてもこれから山を登るような格好ではなく、明らかに観光客だ。
それが証拠に、私を見るなり道を尋ねてきた。
「どこから来られました?南禅寺は向こうですか?」
南禅寺には行けなくもないが、山を三つくらい越えねばならず、私は引き返すように諭した。
五分ほど歩いていると、また観光客のような若い女性の二人組みと擦れ違った。
たぶん間違えて入り込んでいるのだろう。
しばらくして、こんな看板を見つけた。
土地勘のない者が見れば、迷うのは当然である。
これでは左へ行けばすぐに南禅寺があると思ってもおかしくない。
せめて距離を書くとか、もうちょっと細かい注釈が必要だ。
観光都市たるもの、もう少し工夫が必要だ。