攻殻機動隊 SAC 2nd GIG

バンダイチャンネルで全話視聴した。前作ほどの難解さはなく、わかりやすいプロットだった。
とはいえ、一度観ただけでは半分も理解できない。二度三度繰り返し観ることで新たに発見することもあるだろうが、視聴期限が一ヶ月なのでちと辛い。せめて三ヶ月くらいにしてくれ。
プロットの解説は他に譲るとして、このシリーズは声優の力量をまざまざと見せ付けられ、また声優側もそれを要求されるハードな作品だ。
その最たるキャラクターが、荒巻課長こと、阪脩である。齢七十を越える老人が、難解な科学用語をあれほど流暢に喋れるだろうか。物語の要所を締める、実に素晴らしい声である。
今回はゲストとして、榊原良子、小山力也、そして俳優としても活躍している西田健を迎えている。
榊原良子は、パトレイバーの南雲隊長など、聡明で凛とした女性を演じさせれば右に出るものはいない。久米宏時代の最後のニュースステーションではニュースソースのナレーションも読んでいる。茅葺首相という女性首相の役は、恐らく他に演じられる声優はいないだろう。
小山力也は、ERのジョージ・クルーニー、そして24のキーファー・サザーランドなど、洋画の吹き替えでおなじみだ。この作品では、改革を引っ張るクゼという口パクのないキャラを担当した。いかにもという二枚目であるが、これだけの声優陣やキャラクターの中で若干存在感が薄まってしまったのが残念だ。これは声優ではなく、プロットに要因があるのだが。
というようにこの作品、レギュラーにも大塚明夫や山寺宏一など、実に声のいい実力派声優が揃っている。それに引けをとらないのがゲスト中のゲスト、合田一人を演ずる西田健だ。
名前をイメージ検索してお顔をご覧いただきたい。ああ、この人かと誰もが思うだろう。現代劇や時代劇で幅広く活躍している名バイプレイヤーだ。
恐らく、そのセリフには相当苦労されたに違いない。我々のようなコンピュータやネットワークに精通している者からしても聞き取れない単語があるというのに、世界観を理解してキャラクターを演じるのはかなり難しいと思う。
しかも、シリーズで最も重要なキャラクターである。それを確実に演じきってしまう力量は、さすがである。相当勉強されたであろう。
近年、安易な気持ちで声優になりたがる若者が増えていると聞く。そういう連中にこの作品を見せて、己の非力さを味わわせてやりたい。君たちが百年かかっても、この作品はあてられないと。