「どエンゼル」は21世紀のごっつになれるか

ショートコントは、ごっつ以上のものはもうできないと思っている。ごっつ以上のものを作るには、ダウンタウンを超える芸人、三木聡、倉本美津留を超える作家が必要である。そして、それは不可能である。
関西ローカルではあるが、土曜日の深夜に「空想科学番組どエンゼル」というのがある。製作元である読売テレビのウェブサイトに全くページが存在しないという(どういうこっちゃ?)番組だが、テレビ欄の番組紹介にショートコントとあったので観てみた。
笑い飯、板尾創路、YOU、キタキマユ、古田新太と錚々たるメンバーである。で、構成作家が倉本美津留である。音楽に重きを置いた構成で、各パートが一応連続した形でつながっている。随所にはアニメーションも入り、私はふとモンティパイソンが浮かんだ。
キャラクターに依存せず、ネタで勝負しているところはかなり強気の姿勢である。はねトびが今一つ伸びていないのも、東京ローカルから全国ネットへ移行したときに、ショートコントがキャラクター依存だったため、新規の視聴者をおいてきぼりにしたからだ。私もその一人である。
笑い飯の実力は推して知るべしで、ショートコントはまだまだやらされてる感が否めないが、主導権を握ればダウンタウンに匹敵するパワーを秘めている。板尾は最強のバイプレーヤーであり、ブレーンとしてもこれ以上のサポートはないだろう。YOUもまた同じである。ダウンタウンに鍛えられ、芸人のスキルとしてはもう中堅クラスである。ただ、スケジュールの都合か私の観た回は別撮りであった。笑い飯との絡みを観てみたいところである。
キタキマユは、私も誰やあれ?といった感じだったが、ごっつの篠原涼子のポジションに似ている。花王ロリエのCMにも出ていた、髪の長い女の子である。実はれっきとしたシンガーであり(意外)、もしこのまま軌道に乗ればYOUのポジションになる。ま、そこはほどほどに。
我が大学の偉大な先輩古田新太は、私が観た回はたった1カットの出演だった。もちろん、芝居も笑いも超一級なので(褒め過ぎか)、ショートコントでは絶大なサポートとなる。
倉本氏はご自身でも音楽を制作されていて、どエンゼルではそれが色濃く反映されている。キタキマユの起用はその辺りを睨んだものであろう。また、アニメーションもシュールで、インターバル的に流れていいアクセントになっている。
現基礎、ぶっといなど、読売テレビで伝説の深夜番組を手掛けてきた倉本美津留。新たに笑い飯というパートナーを得て、「どエンゼル」はその伝説に成りうるのか、そして、あのごっつを超える存在になるのか。関西の土曜深夜に注目である。ちなみに今週は野球でお休み。