実に衝撃的な出会いだった。当時、巷では外資系のCDショップが台頭し始め、音に飢えた若者を虜にしていた。私も例外ではなく、CDショップに立ち寄っては手当り次第に試聴機に耳を傾けていた。
かわいい女の子のジャケ写に惹かれてヘッドフォンを取った。屈託のないその笑顔を見つめながら、私はプレイボタンを押した。
なんて表現すればいいのだろうか。
耳から脳へ、そして身体中に電流が走ったような、私の中で、カチッと音を立てて、akikoというピースがはまった。アルバム全曲、私はその場で聴き通した。もちろん、購入したのは言うまでもない。
日本人でありながら全編英語詞というのは、まだ珍しい時代だった。だが、英語だろうと日本語だろうと、彼女の歌なら、声ならなんでもいい。そのリズムとメロディーに浸れるなら、なんでもいい。私が、初めて心底その音に惚れたのは、akikoだった。
デビュー以降、アルバムが発売されるにつれて、akikoはR&B性をより強く出し始めた。だがそれは逆に、私の好みの音からは外れていく結果となった。
1997年、4枚目のフルアルバム「KISS OF LIFE」のリリースを最後に、彼女は音楽界から姿を消した。小室ファミリー、ビーイング系アーティストが席巻していた時代、R&Bは早過ぎたのだ。
だが翌年、R&Bのキュートな怪物、あの宇多田ヒカルがデビューして、日本のR&Bは市民権を得ることになるが、そこにakikoの布石があったことを、私は信じて止まない。
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