新喜劇フー!!

今では全国的なHG人気で客入りもあるが、始まったときは正直どうなることかと思った。なにせ、座長を張るのはレイザーラモンHGとなかやまきんに君、それに若手のそれほど知名ではない国崎恵美だからだ。
とりあえず公演は月一回、半年で区切りをつけたが、HG人気次第では続編もありうるだろう。そうなったら舞台を観たいものだ。
悪の組織地獄団から脱走したミスターフー、レディーフーは、息子であるショージフーを地獄団の手から奪還して、各地を転々としながら地獄団の追っ手と戦う、というのがストーリーだ。
基本は新喜劇のような人情調で進むが、後半に結構まともな戦闘シーンがあって、例のHGコスチュームに扮した三人が登場する。
相方の出渕誠や、ビッキーズ、ランディーズらが脇を固めるが、特筆すべきはビッキーズの須知である。地獄団軍曹として一家と戦うのだが、彼のキャラクターはHGを食うほどだ。
ドイツ将校風の出で立ちで、鞭を手にしてちょこまかと歩く。体が小さいので、鞄の中に入れられていじめられるというのを毎回やられている。なかなかキャラの作りがうまい。
確かにHG人気に乗った公演だが、須知なしではここまで盛り上がらなかったと言っても過言ではないだろう。
吉本ももちろんHG本人も、稼げるうちに稼ごうと思っているだろう。私も以前の記事でそう言った。この公演に関しての吉本興業の見切りは早かったが、できればもう少し観てみたいと思う。

第3回MBS新世代漫才アワード

:決勝トーナメント進出組
アジアン
NON STYLE
2丁拳銃
矢野・兵動
とろサーモン
麒麟
青空
南海キャンディーズ
ダイアン
オジーオズボーン
キャン×キャン
りあるキッズ

以上12組がトーナメント方式で最終決勝を争う。審査員は高校生1000人だ。ぶっちゃけ、それはどうかなと思っていたが、矢野・兵動を残すところはさすがに関西人だ。
最終決勝は3組、順当にいけば麒麟、南海キャンディーズ、アジアンかNON STYLEあたりが残るだろうと思われたが、南海キャンディーズは落ちてしまった。ネタを見ていないのでなんとも言えないが、これがトーナメント方式の落としどころでもある。

最終決勝進出組:麒麟、NON STYLE、アジアン
優勝:麒麟

この3組の中では、やはり麒麟が頭一つ抜けている。しかしアジアンもNON STYLEも上り調子なので今後に期待だ。
高校生が審査員ということでどうかなと思ったが、生放送でイベント的な面白さがあって、テレビ番組としては成功したと言える。
しかし、この賞を伝統的なものにしていく気がMBSにあるのなら、いつか撤回する日が来るだろう。高校生だからといって新しい笑いに敏感かといえば、年齢によってそう大差はでない。
むしろ古いタイプの笑いを知っているほうが、新しいものは見つけられる。さもなくば、新しい笑いを自分達の手でつくっていってほしい。その土壌にこの賞レースがあるとすれば、それはそれでよしとしたい。

井上マー

昨年のR-1で惜しくもほっしゃん。にグランプリを奪われた。尾崎豊のものまねでネタをやる。個人的には好きだが、間口の狭さは長州小力並みだ。
ネタも量産が難しいと思う。オチの文言を尾崎風に持ってこなければならないので、必然的に選択の幅が狭まる。
尾崎豊も、どのくらいの世代で通用するか疑問だ。今のティーンはもう知らないだろう。
否定的なことばかり書いたが、好きなのでがんばってほしい。

さらば八ちゃん

かつての吉本新喜劇の雄、岡八朗(八郎から改名)が亡くなった。花紀京と共に、新喜劇の一時代を築いた芸人である。
「オレはな、こう見えても空手やってたんや。ま、通信教育やけどな」「隙があったらかかってこんかい」「くっさー、えげつなー」
数々のギャグで、奥目の八ちゃんは我々お茶の間の子供たちを笑わしてくれた。
昔の芸人さんは酒で身を潰す人が多かったが、岡先生もそうだった。「新喜劇やめよっカナ?」で事実上の引導を渡され、妻の自殺、息子の死など度重なる不幸から、一層酒に溺れるようになり、アルコール依存症にまでなってしまった。
さらに胃がん切除、脳挫傷による言語障害。こんなにおもろい芸人を、こんなに笑えない出来事が次々と襲いかかる。
しかし、娘さんの協力で依存症を克服、舞台へと復帰した。たくさんの弟子たちに支えられ、まさに波乱万丈の芸人人生だったと思う。
芸人岡八朗はもうこの世にいないが、彼の笑いの遺伝子は、間違いなく我々に植えつけられている。さよなら、岡先生。ありがとう、八ちゃん。

レイザーラモン住谷

全国的に露出度はどうなんだろうか。いや、彼の衣装ではなく、テレビのことだ。バク天以外はあまり出てないのではないだろうか。それだと、そこらのポッと出芸人と同じにされてしまうので、少々補足しておきたい。
レイザーラモンという漫才コンビの一人である。出渕誠という相方もちゃんといるが、私もコンビネタは見たことがない。
住谷を初めて見たのは吉本大運動会で、末成由美のお付としてあの衣装で出ていた。そのときは、ハードゲイというキャラではなかったような気がする。しかし身体には自信があるようで、きんに君やサバンナ八木とよく筋肉談義をしていた。
漫才コンビとしての活動より、吉本新喜劇の座員としてのほうが露出は多いと思う。もちろん、普通の青年役であるが、ハードゲイキャラで行くようになってからは、「新喜劇フー」という公演を打ったりしている。公演当日、客席はその筋の人で埋め尽くされたそうだ。
その新喜劇座員の一人、小藪千豊とレイザーラモンの二人で「ビッグポルノ」というユニットを組んでの活動も行っている。
一応断っておくが、彼はハードゲイキャラであって、ハードゲイではない。飽きられるまで乗れる波にはどんどん乗っていってほしい。

ごっつええ感じショートコントアーカイブ#18

・俳優養成テレビ小説シリーズ
イモ芝居の東野を救うべく(?)始まったシリーズ。東野のセリフ覚えの悪さは強烈で、字幕通りに喋ったことがない。それにしても作家がやたらストックホルムに固執しているのが気になる。

・演歌の近道
ゲストの最上川ゆう子の初恋相手として登場するのが、ガンタンク風の戦闘機械獣マクベス。歌のバックで謎の悪党と戦う。「テレフォンショッキング」というコントでも登場する。これもだいぶ金かかってそう。

・英語劇シリーズ
別名、蔵野弾着コント。探偵とシークレットサービスのシチュエーションで撃たれまくる。かなりキツかったと思う。爆竹が胸ポケットの中で爆発するのを想像してほしい。

・京極家の女達
仇討ちの旅をしている京極家の女達。旅先で仇に出くわすが、返り討ちに遭う。だが着物の上だけ斬られて、桑原和子式乳ばんどを振り乱す。悲しい歌をバックに、スローモーションで斬られていく様は哀れである。母役の松本の乳首だけ黒かったりする。

・たとえ警視
取調べに立ち会っているたとえ警視。容疑者の供述にいちいちたとえを返す。書記係の警官がそのたとえを採点するが、採点が気に入らなければ文句を言ったりする。この頃、芝居がかったコントが増えてくる。

それでいいのか新世代漫才アワード

関西には、それぞれのテレビ局で漫才の賞がある。お笑い新人グランプリ、上方漫才大賞、上方お笑い大賞、上方漫才コンテスト、そしてM-1。これらはもちろん放送作家やベテラン芸人、関西文化人などが審査にあたる。
毎日放送が主催している新世代漫才アワードというのがあるのだが、今年から審査員を高校生にさせるというのだ。
確かに関西は、高校生とはいえお笑いのレベルはよその比ではないが、大賞の審査を高校生に全面的に任せるというのはどうだろうか。
かつての2丁目では、ダウンタウンのような天才芸人も輩出したが、女子高校生にキャーキャー言われて勘違いしていただけの芸人も多数いる。
若い世代だけに受ける芸人を選出したところで、その芸人のためにもならないし、お笑いのためにもならない。
新世代という言葉からするとそれもありだが、この賞の価値や品格そのものが問われるわけなので、もう少し慎重にしてみてはいかがだろうか、MBSの担当さん。