まだ作品を見ていないので全くわからないが、彼が小説大賞を受賞したのは、水嶋ヒロという大きなバイアスがかかっているからこそ、であるのは間違いない。
芸能界を引退したとはいえ、あの水嶋ヒロが書いた小説が、売れないわけがない。
賞を主催した出版社は、素性は知らなかったと言っているが、それはそう言うのが当たり前で、例え知っていたとしても言えるはずがないし、本当に素性を知らなかったとしても、それを信じる人は少ない。
全くの想像に過ぎないが、所属していた芸能事務所なり、ブレーンなりが、本を出せるように水を向けたと考えても不自然さは微塵もない。
いやむしろ逆に、水嶋ヒロが小説を書いたので読んでください、のほうが彼にとってよかったかもしれない。
そうすれば、ヘンな勘繰りもされることなく、幾分は純粋な気持ちで彼の作品に触れることができたわけだ。
小説家という仕事を選んだのなら、何十本、何百本と物語を紡いでいかなければならない。自分の切り売りではいずれネタは尽きる。
十年、二十年、五十年経って、俳優水嶋ヒロというバイアスが取れた頃に、その真価は表れるだろう。
できることなら俳優業に戻って欲しいが、君がこっちの世界に来るというなら、拒みはしない。
お互いにがんばろうではないか。上からでごめんね。