80年代、ガンダムを初めとしてそれこそいろんなアニメーション作品を観てきた。
漠然と観ていた中にも、あれ?なんか違うぞ、という印象に残る瞬間が何度かあった。今から思えば、それが金田伊功との出会いであったのかもしれない。
その印象を決定的なものにしたのが、銀河旋風ブライガーのオープニングだ。
本編の作画には線一本たりとも参加していないにもかかわらず、金田氏はブライガーの代表的な作画担当みたいに受け取られているほどだ。
しかし、名選手が名監督になれるとは限らない。
「バース」の失敗は、金田氏の制作姿勢の方向性を少なからず決定付けてしまった。私も作品を観たが、観たかどうか憶えていないほど酷い出来であった。
その後、電撃的なナウシカへの参加、以降のジブリ作品にも継続的に参加することになるのだが、それはまるで水を得た魚のように、金田節全開のカットを我々に見せてくれた。
彼の描くキャラクターは、まるで命を得たかのようにフレームの中を縦横無尽に動き回る。
金田氏は、恐らく日本最高峰のアニメーターであり、アニメーターという言葉こそ、彼の偉業を語るにふさわしい。
改めて、氏の冥福をお祈りするとともに、氏を失った日本アニメ界の大きな損失を憂うものである。
では、ごゆっくり。