MANNA「MANNA」

ピチカートファイヴを脱退した鴨宮諒が、梶原もと子と組んだユニット。
初期のピチカートファイヴは、どちらかというと鴨宮が音楽的に前に出ていて、後の小西・高浪のピチカートと聴き比べると、このアルバムのほうが初期のピチカートらしさを残している。
脳内で梶原の声と佐々木麻美子を変換してみればわかるだろう。
梶原は、カヒミ・カリィや嶺川貴子とユニットを組んで活動していたことがあり、ヴォーカリストとしての実力はあったと思うが、このアルバムの購買層を考えると、ぼやーっと浮かんでくるのは佐々木麻美子であり、それはやはり抗うことのできない強大な存在であった。
ヴォーカルを生かした曲作りをしているわりに、アレンジはちょっとごちゃついている曲もあり、統一感がなかなか得られない。
結果、ピチカート佐々木麻美子の怨霊(?)に憑かれて、サウンドイメージが凡庸になってしまったのは残念だ。
それは往々にして、聴く側にも責任があるのかもしれない。佐々木麻美子に憑かれているのは聴き手なのだから。