長久手の立て篭もり

日本の警察力というものを、私は信頼しているし、誇りにも思っている。だが、今回の事件は、それを一変させかねない、日本の警察の大失態である。
撃たれた警官を5時間も放置、救出オペレーションのあのもたつき、結果、一名の殉職者を出してしまった。あの動き、とてもSATとは思えない。
撃たれて亡くなった隊員は、車の陰で射撃姿勢をとっていた。恐らく、犯人に対してバリケードポジションにいたと思われるが、なぜ射撃姿勢をとっていたのか。発砲許可がない以上、射撃姿勢は全く無意味である。警告や威圧にもならない。彼が撃てないということは、犯人は百も承知だからだ。
警官の救出に直接関わらない隊員は、防御姿勢をとるべきではなかったのか。作戦事態も稚拙である。素人目に見てもだ。
こういう救出作戦の場合、目をつぶってでも動けるように完璧にシミュレーションを行うはずだが、恐らくやっていないだろう。
拳銃一丁で何百人の警察官が振り回され、人質は自ら脱出し、犯人は自ら投降してきた。警察がやったことと言えば、お粗末な救出作戦と、だらだらとした説得である。
銃刀法の規制強化、警察官の装備充実も結構だが、もっと他に改善すべきことはヤマほどある、ということに気づかせることからしなければいけないとは、なんとも情けない話だ。