高校生の頃、深夜に放送していた「怪奇大作戦」を観ていて、格段に演出が異なる作品に気づいた。
極端なクロースアップ、緻密に計算されたレイアウト、ダイナミックな視点移動、光と影の印象的なカット。タルコフスキーに傾倒していた私が、実相寺昭雄という映像にはまるのに時間は刹那も必要なかった。
特撮からアダルトまで、氏の映像はどのジャンルでも変わらず私を魅了し続けた。タルコフスキーと並んで、最も影響を受けた映像作家の一人と言えよう。
出張先の東京、何気なく見た新聞に、氏の訃報が載っていた。せめて同じ空気の中で、その死を見届けたような気がした。
次は、私がその映像の遺伝子を残す番だと、思っている。