牛丼限定復活

11日は神戸で仕事があって、昼は吉野家で食べようと決めていた。そこに、1日だけの牛丼限定復活。そういえば、あれから一年になる。100%の安全という、中東和平より実現不可能な幻想を追いかけるバカな役人どものとばっちりで、もう一年も経ってしまった。
たぶん、当日は行列ができるだろう。私は、列に並ぶということを酷く嫌う質なのだが、今回は喜んで並ぼうと思う。
さて、その日の昼。休みは2時間、余裕はたっぷりある。神戸のその店へは、地下街を抜けていく。階段を上がるとすぐ店が見える。ただ昼飯を食いに行くだけなのに、ドキドキしながら階段を上がっていく自分がいる。
売り切れていないだろうか。行列はどのくらいだろうか。牛丼は食えなくても、昼飯は食わねばならない。私は、ちょっと背伸び気味に階段を上がっていった。
店の前には、行列があった。15人ほどだろうか、中に続いている。私は、列の後ろに並んだ。店内は満席であった。通行人が、感嘆の声を上げながら通り過ぎていく。
しばらく待っているが、なかなか列が縮まらない。そのうち、列を無視して店内に入っていく客が現れた。あれ?と思って様子を見てみると、私の並んでいる列は持ち帰り客の列だったのだ。前の女性に確かめると、やはりそうだった。私は、ばつが悪そうに愛想笑いを振りまいて中に入った。
忙しそうな、いや、めちゃめちゃ忙しい店員を呼び止めて、大盛りを注文した。このために朝食を少し減らしてきたのだ。余談だが、私の行く店にはなぜか中国人の女の子が働いている。ここもそうだし、大阪のよく行く店もそうだ。やはり最近の日本の若者では、労働力として不適格なのだろうか。
程なく、目の前に丼が置かれた。一年ぶりの再会である。一口食べると、あとはもういつもの牛丼であった。そのいつもに比べれば、味のしみ具合は浅かったかもしれない。コクも薄かったかもしれない。が、それは紛れもなく吉野家の牛丼であった。
一年ぶりの牛丼。私は、いろんなところが満腹になって、店を出た。
アメリカの産業のためではなく、食肉業者のためではなく、ただ吉野家のためだけに、アメリカ産牛肉の早期輸入を切に願う。