今頃彼女について記事を書くことになって、少し反省している。当時アニメオタク絶好調だった私が、初めて部屋にポスターを貼った人であり、初めてコンサートに行った人なのだ。だが、坂本龍一プロデュースでなかったら、このアルバムを買っていたかどうかは少々疑問である。
ガチガチのテクノアレンジではあるが、彼女のキュートな歌声を邪魔することなく、世界観を作り上げているのはさすがである。何百回とレコードに針を落としたが、もちろん今でも聴ける曲ばかりである。
ただ、よく言われることで私もそうなのだが、飯島真理の音、というのはとうとう見つけられなかった。もちろん、彼女はシンガーソングライターなのだが、曲にそれほど特長がなく、奥田民生や小西康陽のように誰が歌っても作曲者がわかるようなサウンドではなかった。
だが、その声は飯島真理以外の何物でもない。十年二十年経っても、彼女の声の魅力は色褪せることはない。それが逆に、コンポーザーとしての飯島真理を隠してしまったのかもしれない。
アメリカ人音楽プロデューサーと結婚してロスに永住、二児をもうけるが離婚。現在もロスで活動中であり、最新アルバムが発売されたばかりである。日本での入手は難しそうなのだが、機会があれば聴いてみたい。
飯島真理 公式ウェブサイト(英語) http://www.marimusic.com/
SJX-30207 Victor 1983