大阪の某所に昆布屋がある。仕事帰りによく店の前を通るが、もちろん中に入ったり物を買ったりはしない。造りは比較的新しく、老舗というような店構えではない。立地はあまりよくないが、官庁街のど真ん中にあるので人通りは多く、それなりに客も入るだろう。
その昆布屋、店先にワゴンのようなものがあって、そこにも商品を並べている。小さな不透明のプラスチック容器に入った試食用の商品まで置いてある。
いつも夕方に通るのだが、その店は西に面しており、西日が思いっきり店先に当たる。もちろん、ワゴンや試食用の商品にもだ。太陽は、容赦なく店先を照らす。ワゴンに置かれた昆布は、直射日光に晒され続けている。
誰か、試食した人はいるのだろうか。
夏場などは、プラスチックの容器にうっすら水滴のようなものまで見えるというのに。
何か言ったほうがいいのだろうか。今日も私は店先を横目で見て通り過ぎる。
銀河漂流バイファム
ガンダムがロボットアニメの主権を握って以降、勧善懲悪というコンセプトは薄れ、ヒーローという言葉も影を潜めていた。リアルロボットの時代である。
そのリアルロボットの中核を担っていたのが、言うまでもない日本サンライズ(当時)である。富野喜幸を筆頭に、高橋良輔や神田武幸らが次々とリアルロボットアニメを世に送り出していった。銀河漂流バイファムは、その絶頂期にあった作品と言えよう。
オープニングから度肝を抜かれる。全編英語詞である。もちろん、テレビアニメ史上初である。キャラクターデザインは芦田豊雄が担当、作画もスタジオライブが中心に手掛け、リアルなストーリーの中にもほのぼのとしたキャラクターで、視聴者に親近感を与えていた。
作品解説は他に譲るとして、私が特筆したいのはシップクルーの会話である。例えば、宇宙船が宇宙港から発進するシーン。他のアニメなら2、30秒で済ますところを、バイファムでは数分かけて細かく描写している。
クルーの会話、コンピュータの操作などが実に細かく設定されていて、当時観ていた私もちんぷんかんぷんながら、その緊迫した雰囲気だけは感じていた。
もちろん、そういった設定は劇中で説明されることはないが、それがかえってリアルさを引き立て、バイファムの物語世界を構築していった。
そのリアルなセリフがあればこそ、ラストシーンの緊張と緩和が成立し、私を含めた視聴者の涙を誘うのである。サンライズのロボットもので最終回に感動したのは、後にも先にもこのバイファムだけであった。
バイファムファンサイト http://www.v-gene.com/
スタッフ
監督:神田武幸
脚本:星山博之
作画:芦田豊雄
1983.10.21~1984.9.8

月見バーガー
ずっと神戸の仕事が続いてたので、昼飯の選択に苦労した。気分的にケンタッキーも食べたかったが、どうしても割高になるので避けざるを得ない。月末は辛いところだ。というわけで、今日はマクドナルドで軽く済ませた。
あの頭の悪そうなCMを覚えていたので、月見バーガーを食べた。季節メニューである。
クリーム色の四角い包みはマクドナルドにしては凝っていると思う。本体価格を抑えた割には豪華な感じだ。だが一口食べると、以前に食べて思ったことを思い出した。
月見バーガーの名の通り、挟まっているのは目玉焼きにした卵である。しかも、結構分厚い。一口食べると、口の中はほとんど卵の白身である。これが非常に淡白で味気ない。何かソースがかかっているわけでもなく、ベーコンも普通に火を通しただけでうまみが全くない。普通のハンバーガーのほうがシンプルなだけ肉の味がするのでまだマシだ。
たぶんもう食べないと思うが、また来年の今頃、CMと価格に釣られて買ってしまうのだろう。
浜田麻里
テレビ神奈川は、地方のUHF局であるにもかかわらず、非常にクオリティの高い音楽番組を作り続けている。その中に、ミュージックトマトジャパンというプロモーションビデオを流す番組があった。PVに興味を持った私はその番組を録り続け、今では膨大な資料の山となっている(そろそろ機材揃えてディスク化したい)。
手持ちのCDも少なくなってきたので、そのMTJから私がインスパイアされたミュージシャンをブログってみようと思う。
ヘビメタクイーンという称号は、その華奢な風貌からは容易に想像できないが、彼女のパワフルなシャウトと類い稀なる美貌は、まさにヘビメタクイーンにふさわしいと言えよう。
自らも作詞作曲をこなし、80年代中盤から90年代前半にかけて、精力的にアルバムを発表し続けた。私が初めてPVを観たのは、「MISTY LADY」「HEART LINE」の辺りである。それほどヘビメタは好きでもなかったし、映像もライブビデオからのピックアップなど当たり障りのない内容で、曲の印象もそれほどではなかった。彼女の魅力は、「BLUE REVOLUTION」で知ることとなる。
初の芝居仕立てのPVで、ブルーに統一された色調が彼女のクールさを引き立て、そこにあのシャウトが絡む。だが、これ以降、彼女は次第にポップ路線へと転向し、派手なシャウトはやや陰を潜めていく。
他に好きな曲は「CALL MY LUCK」「CRIME OF LOVE」だが、「CRIME OF LOVE」は渋く切ないバラードで、まだ健在な頃のシャウトが涙を誘う名曲である。ぜひ一度聴いていただきたい。
先日、デビュー20周年を迎えた浜田麻里、現在も精力的に活動中である。
浜田麻里ファンサイト http://www004.upp.so-net.ne.jp/marihamada/
侍ジャイアンツ
私は阪神ファンである。プロ野球において、巨人というチームの存在こそが球界再編を阻む根本原因だと思っている。しかし、侍ジャイアンツは別格であった。この番組を観ているときだけは、自分が阪神ファンだということを忘れて熱中していたように思う。
巨人の星とは違い、この作品だけはアンチ巨人ファンも楽しみに観ていたと思う。それは番場蛮の豪快で爽快なキャラクター描写によるものだろう。現実のプロ野球界をベースにしながら、荒唐無稽とも思える大胆なシナリオ展開によって、視聴者を一気に現実から物語世界へ引き込む。叙事詩的な巨人の星に比べ、ミュージカルのような侍ジャイアンツ。
なんといっても魅力はあの魔球である。ハイジャンプ魔球に始まり、エビ投げハイジャンプ、大回転魔球、分身魔球縦・横、そして最後のミラクルボール。非現実的と言ってしまえばそれまでだが、毎回わくわくしながら観ていた数少ないアニメである。
それらの魔球を破ろうと、眉月、大砲、ウルフ・チーフら数々のライバル達が凌ぎを削った。魔球誕生の経緯にわくわくし、その魔球を破ろうとするライバル達の奮闘にわくわくする。番組を観ているときだけは、物語の世界にどっぷりと浸かり、現実のプロ野球はどこかにいってしまう。
でっかいクジラを腹の中から突き破るはずが、結局は飲み込まれてしまったわけだが、最終回、ワールドシリーズで投げたまさに奇跡のミラクルボール。メジャーを打ち取った番場蛮に、私も心からおめでとうと言ったものだ。
魔球の特訓風景がいじめにつながるとかいう実にくだらない(アホか)理由で再放送ができないようだが、DVDも出ているのでこの作品を知らない方はぜひ観ていただきたい。
余談だが、分身魔球以外は全てボークになるそうな。

ナベツネ
憎まれっ子世にはばかるというが、昔から世の中は悪い奴ほど得をするようになっていたのだろう。
それにしても、ナベツネ周辺のブレインは優秀である。オリンピック直前という絶妙なタイミングで、自浄を装った手前ミソな裏金問題を露呈させ、引責辞任という形で表舞台から見事に消し去った。
これで正々堂々と球界再編の敵役から逃れ、あとは悠々自適の隠居生活である。あーやれやれといった感じだろう。件の学生は、さしずめスケープゴートといったところか。かわいそうに。
私は、読売巨人軍の改革なくしてプロ野球界の改革はないと思っている。巨人戦がないと他球団が儲からないという状況を、誰一人として疑問に思わないのはどういうことだろうか。
近年のプロ野球は、全て巨人中心に動いてきた。その諸悪の根源がナベツネであり、奴が消えた今こそ、腐った球界を再生できるチャンスである。
選手のストライキ、新球団、交流試合。最もプロ野球に必要なのは、富の分配である。それはテレビの放映権料であり、ドラフト制度の見直しである。巨人偏重の風潮がある限り、何をやってもだめだろう。
強いものが勝つというのがスポーツである。しかし、金や権力で得た勝利であってはいけないのだ。
妖怪人間ベム
オープニングはジャズである。あんなクールなアニメソングは、ビバップかベムかというくらいである。話の内容は別に意味でもっとクールだ。
この作品、実は韓国製であることが最近わかった。今ではかなりの日本製アニメが韓国や中国で製作されているが、こんな古い時期から既に共同製作が始まっていたのだ。
言われてみれば、キャラクターや動きなど、同時期の他のアニメと比べてあまり類似点がないような気もしないではない。
当時は日韓関係も厳しく、反日感情は今の比ではなかっただろうが、両国の友好のために共同製作が企画されたそうだ。
残念ながら放映当時はスポ根もの全盛であまり人気が出ず、ベム以降の共同製作は解消された。しかし、再放送が繰り返されるうちに人気に火が付き、今では日本を代表するアニメの一つになっている。
折しも、高度経済成長期のツケが公害となって日本中を苦しめていた時代、妖怪人間ベムはこれからの社会のあり方について問題提起し、警鐘を鳴らしたのだ。
「早く人間になりたい」
番組では彼らのその思いは叶わなかったが、今ならその願いもきっと叶うことだろう。
参考資料 http://f1.aaacafe.ne.jp/~monokuro/bem.htm
