MTJ #8

「Right Place Wrong Time」F.O.E.
YMO散開後、細野晴臣が次のムーブメントを起こすべく結成したF.O.E.(Friends Of Earth)。当然YMO世代は注目したが、尻切れた感じになってしまった。ビデオもライブ映像が中心であまり凝っていない。むしろ「Strange Love」のほうが映像としては凝っている(なら取り上げろよ)。

「黄金の時間」ZELDA
ガールズバンドの祖と言ってもいいだろう。映画「ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け」の主題歌で、ビデオも映画からの映像がふんだんに使われている。今から思えば、いわゆるゴスロリ調の衣装を着ていたように思う。音楽的にも実力を備えたバンドであったが、下に強力なガールズバンドが出てくる。

「KISSでCRIME」プリンセスプリンセス
ガールズバンドの代名詞になってしまったプリプリ。しかし、彼女達もいきなりうまかったわけではない。このビデオを見ると、その一生懸命さというか、必死さが伝わってくる。正直、かわいいとかきれいなバンドではなかったが、魅力的ではあったと思う。プリプリとしてのデビューはこの曲である。

「失意のダウンタウン」久保田利伸
ラップを取り入れた楽曲で、日本で初めてヒットしたのはこの曲ではないだろうか。全編ではないが、間奏部分に挟まれている。若々しいデビュー曲である。既にもうコンポーザーとしての一面もあり、多彩な才能を発揮していた。そしてとうとう全米デビューを経てソウルトレイン出演である。すごい。日本の音楽界において、R&Bシンガーという系統を築いたミュージシャンと言えるだろう。

「江戸時代の恋人達」パール兄弟
手塚真が撮ったと聞いて、見ない訳にはいかない。お茶の子博士で散々楽しませてくれて、今度はどんな映像が見られるのだろうかと。だが私は映像より音楽にはまってしまった。パール兄弟との出会いである。ビデオは、股旅姿のメンバーが砂浜で歌う。もちろん8mm。ざらっとした画質は見慣れたいつものやつだ。手塚真-パール兄弟の真の姿は、「鉄カブトの女」までおあずけである。

PSY・S 「TWO HEARTS」

フェアライトを操るテクノの申し子松浦雅也と、パワフルでキュートなヴォーカルCHAKAが85年に結成したユニットPSY・Sは、デビュー以来数々のスマッシュヒットを飛ばし続けた。これは初のベストアルバムである。
当時、他に追いかけるミュージシャンが多かったため、サイズはベストでいいやと思っていたが、各店で品切れが続出、手に入れたのは発売から相当経ってからだった。みんな同じことを考えていたのだろう。
収録曲は全てリミックスが加えられ、オリジナルに似たものもあれば遠くかけ離れたものもある。どれもオリジナルより生っぽい印象がある。賛否はあれど、サイズサウンドを充分堪能できるアルバムには違いない。学生の頃、寮の部屋でよく聞いていたので、今でもサイズを聞くとあの頃の甘酸っぱい気持ちが呼び起こされる。
“Desert”はオリジナルのほうが好きだったと言ったあの人は、今頃どこでどうしているのだろう(しみじみ
SRCL1791 SONY 19910425

MTJ #7

「STAY CLOSE」高橋幸宏&Steve Jansen
JAPANとYMOは親交も深く、こういうコラボレーションが出て来るのは自然な形である。ビデオは、Steveの元に幼なじみの高橋幸宏が訪ねるという展開。落ち着いた色調で、時々ボケも挟みながら淡々と進んでいく。曲も、双方がヴォーカルをとりつつ、仲のいい雰囲気で流れる。その仲良し雰囲気がよく、個人的にも好きなクリップである。

「KAPPA」くじら
なんとも不思議なバンドである。昭和の(この頃はまだ昭和だったが)懐かしい雰囲気を漂わせつつ、それでいてラジカルな詞がありながら、牧歌的なサウンドと、つかみ所のない感じである。ビデオ中、メンバーがタートルネックを着ていて当時はダサイ感じだなと思っていたが、数年を経てタートルネックが復権する。先見の明なのか、たまたまなのか。

「潮時・ポーカーフェイス」バブルガムブラザーズ
いい曲である。どこかのマンションのエレベータをジャックした二人が、知らずに乗り込んでくる住人をいじりながらビデオは進んでいく。そのおちゃらけた内容はともかく、ミディアムテンポのいい曲である。トムさんは今でもテレビで見かけるが、相方のコーンさんは何をしているのだろうか。再結成の話もあったように思うが。

「蝋人形の館」聖飢魔II
大御所登場である。ヘビメタブームも一段落し、J-POPはバンドブームへと移るのだが、出てきたときからなんかおかしいなとは思っていた。見てくれは他のバンドに違わず威圧的で仰々しい感じだが、どこかコミカルな一面が垣間見えていた。で、あれである。ビデオでも、冒頭でその一面が窺える。しかしサウンドは本格派。妹が信者であったため、私もデーモン小暮の敬称は閣下である。NOKKOがゲスト出演しているのは周知の通り。

「Crime of Love」浜田麻里
浜田麻里の最高傑作ではないだろうかと思う。シャウトが響くラブバラードは他に例を見ないだろう。実にしっとりと激しく聴かせてくれる。ビデオは、「Blue Revolution」のついでに撮ったのか、色調が似ている。曲がよすぎてどんな映像を当てても薄れてしまうだろう。

MTJ #6

「TuTu」ポータブルロック
アイドルをひきずっている(失礼)野宮真貴嬢が見られる貴重なクリップ。一応ドラマ仕立てで話は進むが、そこはミュージシャン、過度の期待は慎もう。スタジオの隅で片手間に撮ったようなあまり凝ってないビデオだが、リズムに合わせたカッティングが心地いい。

「Runaway Girl」ROGUE
どこのバンドでもヴォーカルは強烈な個性を持っているものである。それはルックスであり、ファッションであり、言動であったりするが、ROGUEの奥野敦士は、髪型(?)であった。別にモヒカンとかそういうのではない。普通のオールバックなのだが、サイドの髪が少し長い。で、この曲のサビの部分になると、彼は上半身を小刻みに前後に動かしてシャウトするのだが、そのときにサイドの髪がばらけて、顔に覆いかぶさるのである。それがなんともいえない不気味さというか、操り人形のような妙なエグみを見る者に与えてくれる。そんなことしか評価されないROGUEって・・・

「My Revolution」渡辺美里
小室哲哉、入魂の名作である。この一曲がある限り、私は全てを許す。渡辺美里の伸びやかなヴォーカルをバックに、都会に生きる若者のカットが延々と流れる。君たちの革命は、君たちの中にある。日本のスタンダードナンバーといってももはや過言ではないだろう。名曲である。

「Freeze Moon」尾崎豊
尾崎豊が、絵の具でどろどろになっている。それがだんだん取れてきて、最後にきれいな尾崎豊になる。単純に逆回しにしてあるだけだが、効果的で面白く仕上がっている。絵の具が全部取れたときには、ちょっとした爽快感があったりする。曲は重いが。

「6月の雨」白浜久
こっちはもっと重い曲である。後にARBに参加する白浜久だが、若者の妊娠中絶をテーマにした歌である。実際、発売直前になってクレームがあったそうだ。女子高生を主人公に、援助交際の原点みたいなストーリーが展開する。当時はまだ、高校生とセックスはタブーに等しかった。21世紀になって、それも当たり前になってしまった。いいやらわるいやら。

「Don't Stop Passengers」PINK
ビデオドラッグのような作品である。PINKは、大沢誉志幸のバックバンドという触れ込みで売り出された。バックバンドというと、どうも大沢誉志幸の下で修行したようなイメージがあるが、決してそうではない。たぶん安全地帯の影響があったのだろう。音の本質をさておいて、そういう上辺だけしか触れずに宣伝するのは、実に不愉快である。ギタリスト二人は既に他界されたそうだが、他のメンバーは現役である。

MTJ#5

「ため息のマイナーコード」The東南西北
高校生にしてソニーオーディションでグランプリを獲ってしまったバンド。オーディションとしてはこれ以上ないくらい大規模であるから、関係者はヒヤヒヤしていたことだろう。しかしそこはグランプリを獲っただけの腕はあり、数々のスマッシュヒットを飛ばした。ビデオもそのまま、制服姿でメンバーが登場し、青春の1ページみたいな感じに仕上がっている。

「かっちょいい!」米米クラブ
トムトムクラブに音が似ているなと思ったら、本当にそこからきているらしい。今や伝説となったビッグファンクバンドのデビューである。ジェームズ小野田はいきなり強烈である。ビデオでは誘拐犯を演じ、カールスモーキー石井と張り合う。博多めぐみはマジで女だと思っていた。ビデオもステージも、そしてメンバーも、なんてファンキーなバンドだろうか。

わっ、ミュートマやw

「遅咲きガール」戸川純
元祖不思議少女である。ビデオは、いろいろなコスプレが楽し(?)める。この曲と「好き好き大好き」「さよならをおしえて」は、ワンセットで撮影されたようだ。しかし戸川純は、椎名林檎とどこかしら共通点があるような気がしてならない。歌詞に音読ではわからない熟語を多用し、ヤプーズ以降は右翼的色彩を濃くした。

「NO!NEWYORK」BOΦWY
BOΦWYに初めて触れた曲である。レコーディング先のベルリンの映像がフィーチャーされている。まだメンバーはやんちゃな感じがして、トゲトゲしさがあった。後に、日本を席巻するビッグアーティストとなり、現在活躍しているビジュアル系ミュージシャンの大半に強烈な影響を与えることになる。GRAYなんかはもうコピーバンドといってもいいかもしれない。

「HelloHello」LOOK
前作のスローな曲より一転、バカがつくほどポップな曲である。LOOKは精力的にビデオを制作、以降もドラマ仕立てで見応えのある作品を出し続けて行く。たぶん、このビデオに出ているクラシック歌手は、タレントとしてブレイクする前の森公美子ではないかと思う。

MTJ#4

「ラブイズCASH」レベッカ
アイドルポップなレベッカである。どちらかといえば、デビュー後のレベッカは暗めのサウンドだったが、この曲あたりから弾けるようなサウンドを聴くことができる。個人的には好みではないが。劇中に出てくるキャッシュディスペンサーが時代を感じさせる。NOKKO、ビデオ終盤で口パク間違いあり。笑ってごまかす。

「TEENAGE」PSY・S
たぶん中野裕之あたりが撮った作品。古い時代劇映画のシーンをコラージュしたサイズ衝撃のデビュー曲。パンキッシュな色使いや、モノクロフィルムに着色するなど、映像的にかなりクオリティが高く、やがて訪れるハイテク90’sを予見させる。

↑たぶんじゃないよねw↓

「YELLOW BLOOD」ARB
いつまで経ってもかっこいいバンドである。ドラムのキースは、入れ墨にスキンヘッドで幼稚園に子供を迎えにいっていたらしい。こういう人ほど絶対に子煩悩なのだ。ARBもビデオには力を入れていたほうである。この曲では、石橋凌がだんだん歌舞伎のメイクになっていく。よく見ると、ちょっと編集でミスっているところがあったりする。今みたいにデスクトップでちゃちゃっという時代ではないのだ。

「SINGING CIRCUIT」Sho-Shonen
Shi-Shonenもムーンライダース系のテクノバンドである。テクノ系もムーブメントとしては終期で、Shi-Shonenも程なく活動を終了する。確かにフェアチャイルドの前身ではあるが、そう位置づけるのはちょっと疑問が残る。潜水艦が砂浜を縦横無尽に進み、それをメンバーが追い掛ける。意味としては不明。各メンバーのキャラクターは強烈である。

MTJ#3

「金曜日のライオン」TM NETWORK
TMのデビュー曲。小室の曲調はこの頃から何一つ変わっていない。ダンサブルではないが、耳を惹く音であることには違いない。むしろダンサブルな曲より、テンポの緩やかな曲に名作が多い。宇都宮のルックスはよかったが、あまりアイドル的売れ方はしなかったように思う。それより、今でもみんな元気で頑張っているのはすごいことだ。

「なんかちょうだい」伊武雅刀
残念ながら、私はスネークマンショーを知らないが、伊武キャラ全開のビデオである。なまじ声のいい人がこんなヘンなことをされるとインパクトが妙なところについて癖になる。緊張と緩和という笑いのセオリーに忠実な内容である。音楽をサポートしたShi-Shonenのメンバーも巻き込まれている。

「緑の日々」オフコース
大作である。もはやビデオクリップの域を出、一つの映像作品として立派に成り立っている。年老いたメンバーの前に武田鉄矢扮する天使が現れ、人生をもう一度やり直す機会を与えるというストーリー。映像もいいが、断然曲もいいのである意味卑怯かもしれない。高樹沙耶、エディ・タウンゼントが客演している。未見の方はぜひご覧いただきたい。

「摩天楼ブルース」東京JAP
メンバーに赤坂泰彦がいたことはあまり知られていない。冒頭、いきなり女性の死体である。自殺か他殺か、都会に暮らすこの女性に何があったのか。小泉今日子主演ドラマ「少女になにが起こったか」の主題歌でもある。引っ掛けたか。ともかく、いい曲である。私はカラオケがこの世から消えて欲しいと思うくらい嫌いだが、この曲は熱唱してみたい。

「FIELD WORK」坂本龍一 Feat.Thomas Dolby
これも大作である。前大戦の生き残りである日本軍兵士(教授)を、マニアックなストーカー(トーマスさん?)がその生活を追い掛け、最後には殺されてしまう。こういう大作になると、曲がBGM化してしまいがちなのでバランスが難しい。教授のできてるようなできてないような芝居も必見。