MTJ #14

「ANGEL」氷室京介
ボウイ解散後、待望のソロデビューである。今活躍中の全てのヴィジュアル系に影響を与えた張本人。ビデオは場末のショーパブに出演している女装のダンサーの悲哀を描く。ビデオに本人が一切出ていないのは比較的珍しい。出てたかな。

「だいすき」岡村靖幸
沢田研二、大沢誉志幸と続くナルシストラインである。スカした感じに嫌悪感を覚える男子も多かったことだろうが、人気はそこそこあった。ビデオは、白バックに本人と女性だけのシンプルな映像に子供達のコーラスが被るので、本人の軟派なキャラが少し薄まる。元々がコンポーザーなので、楽曲提供やプロデューサーとしての活動も多い。しばらく表舞台から遠ざかっていたが、電グルの石野卓球とのコラボアルバムで復活、最近ソロも出して完全復活を遂げている。

「タンポポの微笑み」パール兄弟
しっとりと落ち着いた曲である。このビデオには後日談があって、大谷石という有名な石材の採石場でビデオ撮影とレコーディングまで行われたのだが、数ヶ月後にその採石場が崩落してしまったのだ。パール兄弟危うし、である。しかし、その甲斐あって、荘厳な雰囲気のサウンドに仕上がっている。

「ソウルサバイバーの逆襲」The Newest Model
ネオサイケとかいうムーブメントがあったように思う。ネオアコとかネオGSなんかも90年代にはあった。無国籍なサウンドイメージを持つこのバンドは、後にメスカリンドライブと合体してソウルフラワーユニオンというこれまた強烈な無国籍バンドに成長する。ビデオにちょっとネオサイケ的なイメージがあるね。本人はそんなもん関係ないんだろうけど。

MTJ #13

「Rose or Lose」The Willard
実は好きだったりする。この曲は、某映像コンテストに出品した作品にパクってタイトルにした。ウェスタン風の出で立ちにスライドギターが特徴的なバンド。そういえば、サウンドもどことなく西部チックだった。ピーメとサボテンが良く似合う。なんと、まだ現役で活動中!すげえ。
http://willard13th.com/prank-ster/

「Virgin Love」Blue Angel
鋲の付いたレザージャケットが思い浮かぶロックンロールなバンド。男三人に紅一点ヴォーカルというありがちなパターンだが、なんと、ここも現役で活動中。視聴してみたらすごくシンプルな音作りながらもビートの効いた熱いサウンドが流れてきました。ちょっとロカビリー方面に振ってるかな。しかしみんなすごいなー。
http://www.dsw-groovy.com/ba/

「Highschool Days」東京少年
大学時代の同級生の友達がメンバーだったが、メジャーデビュー時にお前ジャマやと外されたらしい。芸能界って怖いねえ。東京少年と名乗りつつ京都出身の笹野みちるは、政治家を母に持つ。透明感のあるヴォーカルと青春真っ最中な詩がよかった。後に同性愛者であることを告白、個人的にはああやっぱりって感じだった。

「Glorious Days」布袋寅泰
サポートギターに土屋昌己がいるだけでも凄いのに、ベースは松ちゃん、ドラムは池畑さん、キーボードはホッピー、パーカッションはスティーヴ衛藤と、当時のJ-POP少年ならヨダレに鼻血もののメンバーである。ボウイ解散後、巨人が動き出した。ビデオはタイレル制作。問題無し。

MTJ #12

「1999 Secret Object」聖飢魔II
プロモーションに訪れたレコード会社の関係者が、聖飢魔IIのステージを観てぶっ飛ぶ。文字通りぶっ飛ぶ。ブラックというかシュールというか、今から考えると、オウムと同時期だったらかなりやばかったかも知れない。今はもう時代が寛容なので。解散するときにほんまに会場爆破くらいやってくれると思ったけどなあ。

「Limited Night」Zero Spectre
尊敬するドラマー(別にやってるわけじゃないが)池畑潤二がルースターズ解散後に結成したバンド。ヴォーカルがちょっとスカしててやな感じだったが、そこそこ頑張ってた。この曲はドラマ仕立てで面白い。女性を三股かけてる男にヴォーカルが扮し、どたばたやったあとに女三人から撃たれる。ノリのいい曲もいい。

「All My Dreams」The Jadoes
コミックバンドを欠片も感じさせない曲。ジャドーズにはある意味不必要な爽やかさが、ふんだんに詰まった一曲。しっとりじみじみと聴かせてくれる。笑いどころ一切なし。果たしていいのか悪いのか?

「All Night All Right」Rollie
90年代ももうすぐというときに、オールディーズを引きずっていたバンド。しかし、この曲はノリノリでかなり好きである。滅多にいかないカラオケで見つけたときには思わず歌ってしまった。ツインヴォーカルも新鮮。

「さいざんすマンボ」トニー谷
この曲あたりからリミックスが流行り始めた。コンピュータの発達で技術的に簡単になってきたのだろう。もちろん映像はトニー谷の映画からコラージュ。確かCDシングルもこのあたりから。プロデュースは大瀧詠一ざんす。

MTJ #11

「Maybe Blue」UNICORN
バンドブーム全盛である。ユニコーンはソニーオーディションでメジャーデビューの道を得た。調べてみれば、このソニーオーディションは、J-POPアーティストのほとんどを輩出していると言っても過言ではないくらいすごいオーディションである。一発屋量産オーディションではない、後に流れを残すような実力派がほとんどなのだ。ユニコーンも多分に漏れず、素晴らしいバンドの一つである。このクリップで、幻の女性キーボードの姿が見られる。民生若ーい。

「Remember」PERSONZ
子供の8mm映像から始まり、印象的なギターのイントロが流れる。アップテンポだがどことなく郷愁を誘う。パーソンズは、ヴォーカルのJILL姉ぇのカリスマ性も手伝って、バンドブームの中では比較的集客が多かった。ブームに乗ってつくられたサウンドではあったが、実力はちゃんとあった。私はこの曲が一番好きである。

「I'm Gettin' Blue」ZIGGY
バンドブームの一番の大物ではないだろうか。グラムっぽい外見とは裏腹に、実にメロディアスな曲を奏でてくれる。好みの音ではなかったが、聴くたびに何か惹かれるものがだんだん増えていく。そんなバンドだった。デビューして20年。嬉しいことにまだまだ現役である。

「FASHION」ZIGZAG
こぶしの回るヴォーカルである。男5人編成で、演歌ロックなどと呼ばれていたそうな。CDこそ買わなかったが、好きな曲が結構あった。この曲は一番ハードなナンバー。夜撮にスモーク、クリップもハードなカッティングで攻め立てる。カラオケで熱唱すると気持ち良さそうだが、誰も知らないだろう。

「Be My Baby」COMPLEX
このユニットができたとき、巷ではかなり大騒ぎになっていたが、その筋からすればごく平凡な成り行きである。吉川晃司のツアーメンバーに、ボウイを解散した布袋寅泰が入り、そのままやろうか、みたいな感じである。背の高い二人が並ぶもんだから、カメラも下から煽って撮っていたりする。今考えてもそうだが、当時でもかなりビッグな組み合わせである。いろんな意味で。

MTJ #10

「Like a Moon」Rogue
ビデオというより、この曲がK-Chaps(何代目かのいいとも青年隊)によってカバーされたときに、誰も原曲のことを言及しなかったので、ここに記しておく。だいぶヒットしたように思うが、メンバーの心中や如何に。

「哀愁のダイヤル03-505-4630」Killer May
日本初の女装バンド(笑)とでもいうのだろうか。ビデオもコミカルで面白い。イエローモンキーの母体となったのは有名である。確か11PMに出演したときに、ボンデージ姿のSMチックな女性をいたぶりながら歌っていたような気がする。そのときはちょっと近寄りがたい印象があったが、いつのまにかコミカルになってしまった。

「Marionette」BOΦWY
ガイナックス制作である。後にエヴァンゲリオンなどで名を馳せるアニメ制作プロがビデオクリップを担当した。解散後ソロになった布袋寅泰のビデオも制作している。これほど有名なバンドが、アニメーションのビデオクリップをつくるのは珍しい。アニメのビデオクリップ自体もそう多いものではないが。

「BAD」Michael Jackson
マーティン・スコセッシ監督である。アーティスト本人についてはいろいろあると思うが、個人的にはマイケルのダンスは好きだし、彼も私の敬愛するジーン・ケリーの影響を受けたと言っている。とにかく、名作の部類に入るビデオクリップである。当時とんねるずがパロディを撮っていたが、あれも相当素晴らしかった。

MTJ #9

「Just a Woman」マリーン
マリーン扮するやり手のキャリアウーマンが、成り上がりの若い副社長に目をつけられて誘われるが、彼女はことごとくそれを振り払う、みたいなストーリー。待ち合わせたバーで、実は彼女が歌っているのだが、副社長はそれを知らないというオチ。アップテンポでノリのいい、好きな曲である。「私はただの女じゃないの」みたいな詞も女性上位時代を表している。

「鉄カブトの女」パール兄弟
パール兄弟-手塚真の真骨頂たるビデオである。モノクロ、8mm、エログロナンセンスと、手塚節全開。アジテーションラップと言う曲のスタイルだと、確か近田春夫氏が言っていたような気がする。夜中に一人でヘッドフォンで聞いていると、ついつい後ろを振り返りたくなるパール兄弟最強のビデオクリップである。

「Red Zone」The Star Club
その筋では有名なパンクバンドだが、映像がよかった。シネカリグラフやコマ撮り、多重露光の合成など、フィルムでできるエフェクトを多用して、かっこよく仕上がっている。イメージ優先の演出としてはかなり完成度が高いように思う。

「Friday Night」The Jadoes
サウンドはそうでもなかったが、ビデオはかなりふざけていた。どうも普通のバンドではなく、お笑いとしても活躍していたようだ。だが調べてみると、メンバーの中に、現在ダンス☆マンとして活動している人がいるらしい。どっちつかずになってしまったのは残念だ。ビデオ中、曲をスクラッチみたいに細かく同じフレーズを繰り返すところで、編集ではなく自分の動きでそれをやってしまう(見てもらったほうが早いよ)のが死ぬほどおかしかった。

芳本美代子 「I'M THE ONE」

ザ・ベストテンで最高位2位を獲得した「青い靴」が発売されたのが前年の86年。このアルバムは、アイドル歌手芳本美代子として最高の時期に発売されたと言える。
シングル曲を含めた一見何の変哲もないような構成のアルバムだが、暗雲を振り払うような爽快なトップチューン「Kiss the Sky」から、異国情緒漂う「フェリアの娘」、ハイテンポなリズムトラックで盛り上がる「Street Swimming」、ラストはちょっと大人っぽく「Wanna Catch」でメロウに決めてくれる。
飛びぬけてかわいくもなく、飛びぬけて歌がうまいわけでもないが、みっちょんは私にとって永遠のアイドルである。
TL-515 TEICHIKU 19870721