MTJ#2

「Sticky Music」 Sandii & The Sunsetz
「紙芝居が始まるよー」ファーストカットからいきなり細野晴臣が拍子木を打つ。YMO育ちとしては見逃せないビデオだった。まったりとほのぼのとした曲調で、無国籍感が漂う。”Sticky”とは本来”ネバネバした”という意味であるが、日本語の”素敵”にも引っ掛けてある。とはいえ、水飴をメンバーでこねくりまわしているシーンもあったりする。

「ヴァージニティ」 レベッカ
レベッカは、サーモン木暮が抜けるまではよく聴いていた。いわゆるアーリーレベッカでは、一番好きな曲である。切ない。失恋、自殺をキーワードとして、ドラマ仕立てでシーンは進む。実に切ない。当時は悲惨なくらい華奢なNokkoが、これまた見ていて切ない。

「恋の予感」 安全地帯
出てくる女優さん(不明)がかわいかった。ドラマ風のイメージシーンによる構成で、ディーゼル車の汽笛が哀愁である。ご存知のように、彼らは井上陽水のバックバンドとして活動していたので、当時からその実力は推して知るべしである。ま、新人の爽やかさはないが。

「スイートインスピレーション」 シーナ&ザ・ロケッツ
めんたいロックの雄。私が最もかっこいいと思うギタリストが、鮎川誠である。真っ白なホリゾントをバックに、皮のロングコートで決めたフロントの3人がステージングする。シナロケにしては爽やかな曲である。この曲からシーナが産休に入り、バンドはザ・ロケッツとしてしばらく活動する。かっこいいお父さんとお母さんでいいなあ。

「青い実の瞳」 太田裕美
曲のクレジットを見逃すと、誰の曲かはわからない。へえ、という感嘆とともに、もう一度ビデオを観ることになるだろう。アップテンポでポップな気持ちのいい曲である。妖精のようなコスプレをしたご本人が、コマ落しの映像であちこち飛び回る。もちろん、色調はブルーだ。声は歳を取らないのでいい。

マイヤヒー

それを知ったのは、アダルトサイトのニュース欄だった。リンク先には、2chキャラのかわいいFLASHとともに、ダンサブルな音楽が流れていた。
始めは空耳っぽいFLASHに惹かれたが、やがてそのフレーズが耳にこびりついた。何語かわからないそのフレーズは、こんな極東の島国の人間にさえ何かを感じさせた。
黒海の北、モルドバという、ルーマニアとウクライナに挟まれた小さな国がある。この歌は、その国で生まれた。今夏、フランスやイタリアを中心に、ヨーロッパで大ヒットしたそうだ。0-ZONEという男性三人組が歌の主である。さしずめ、日本の少年隊のようなアイドルっぽい風貌である。
モルドバと聞いて、あなたは恐らくそれがどこにあるかわからなかったはずだ。もちろん、私も知らなかった。しかし、そこで生まれた音楽は、確実にこの極東まで届き、誰かに何かを感じさせている。
この冬、モルドバからやってきた音楽が、日本を席巻するかもしれない。のまのまいぇい。
http://csx.jp/~damemushi/il/maiyahi.html

MTJ #1

音楽系ネタが限界に来ているので、私の得意な80年代~90年代のビデオクリップからアーティストを抜粋してレビューしてみたい。

「Midnight Kids」 中村あゆみ
まだこの頃はオールディーズブームを少し引きずっていた感があって、中村あゆみもどちらかといえばそんなイメージがあった。実際ビデオも埠頭やそれっぽい店で(本牧あたり?)ロケーションされている。内容は至って普通で、歌って踊るだけ。ご本人はまだまだ現役で活動していて、最近テレビで拝見したが全然変わらず、ものすごくいい女になっていた。あれから20年も経っているというのに!

「夏の日」 オフコース
オフコースは、精力的にビデオクリップを制作していた。それもドラマ仕立てで、小田和正が監督し、もちろんメンバー全員が出演する。この曲はゲストに田中美佐子を迎え、大間ジローを主人公に、コミカルで淡い恋物語であった。小田監督の手腕はなかなかなもので、色調を抑えた映像やソツのないカット割りなど、一つの映像作品としても充分見応えのあるものになっている。

「狂い咲きピエロ」 爆風スランプ
コミックでパンキッシュなバンドであった爆風スランプ。デビュー当初はギャグものばかりではなく、この曲のようにちゃんとした(?)曲もあった。こんなダークサイドな部分がなくなってから、爆風スランプの魅力は半減したように思う。ライブシーンの映像だが、メリハリのあるライティングが各メンバーをクールに映し出す。ちゃらけてないパッパラー河合はなかなかお目にかかれない。

「十七歳の地図」 尾崎豊
そう、80年代中期の大型新人である。外面は目一杯ツッパっているくせに、サウンドはやたら優しかったりする。今の高校生がこの歌詞を見たら、きっとSFのように驚くだろう。ライブハウスのステージ映像を中心に、蜂などのコラージュ的なカットが被る。尾崎豊もビデオクリップはかなり凝っていた。いわゆるプロモーションビデオ全盛の時代である。

「MA TICARICA」 立花ハジメ
元プラスチックス、ビジュアルアーティストとしても名高い立花ハジメのビデオクリップは、コンピュータグラフィックス。といってもこの時代、主流は8ビット機でCGと言っても動きのほとんどないチープな(今から思えば)ものである。それをカバーして余りあるのがデザインセンス。さすがである。

中川勝彦

テレビでおねえキャラが持てはやされた時期があった。実際に同性愛者もいれば、完全にキャラクターとして演じている人もいる。ミュージシャンにも、中性的なイメージを売りにしている人がいるのが当たり前になっている。中川勝彦が現れたのは、まだビジュアル系という言葉すらなかった時代だった。
チェッカーズや尾崎豊がデビューし、ヘヴィメタが台頭して、ミュージックシーンが混沌としてきた80年代中期、彼は突然現れた。甘い端正なマスクに、華奢な身体。初めてPVを観た私は、彼の性別を判断しかねないでいた。
その「Please,Understand me」のPVは、イメージを羅列するコラージュで構成されていて、中でも印象的なのは彼の顔と女性の裸体を合成したイメージカットである。スローな曲調はますます妖しく、絞り出すようなヴォーカルは、悲壮感さえ漂っていた。「私を理解してください」という曲のタイトルは、そのまま彼を指しているようにさえ思えた。
中性的なイメージは受け入れられなかったが、彼が美男子であることに変わりなく、圧倒的な女性ファンの支持で人気を得た。思うに、彼の登場は十年早かった。
しばらくして、意外なところで彼の名前を目にする。「超力ロボ・ガラット」というギャグロボットアニメの声優としてである。それも主役として。恐らく声優初挑戦のはずだが、不自然さや違和感は全くなく、見事に主役をこなした。この他、テレビドラマにも出演し、マルチな才能を発揮し始めた矢先、彼を病魔が襲う。
急性骨髄性白血病により、1994年9月17日、中川勝彦は永遠の眠りについた。やはり、美しいものは命が短いのだろうか。
この記事を書くにあたってリサーチしていると、なんと娘さんが芸能界デビューしているという。娘さんがいること自体知らなかったが、お父さんに似て美形である。
中川翔子公式ウェブサイト http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Spotlight/2422/
中川翔子ファンサイト http://www3.to/nakanan/
中川勝彦ファンサイト http://www.geocities.co.jp/MusicStar/5587/

私のリスニングスタイル

iTunesは実にいい。自宅ではwinだが、職場ではmacを使っている。iTunesが出たとき、改めてパソコンはすごいなあと思ったものだ。今ではwin版も公開され、自宅でも使っている。
ウォークマンが嫌いである。外で音楽を聴くのもいいが、外には外の音がある。街の雑踏、鳥のさえずり、虫の声。音楽は家でゆっくりと聴く。
音質にはこだわらない。こだわってもしょうがない。昔、何かの本で、完璧な再生環境を追求するには、日本の土壌では不可能、みたいなことが書かれてあった。別に書かれてなくても、音質にはこだわらない。割れたりノイズがあるのはだめだけど。
ヘッドフォンをよく使う。というか、ヘッドフォンでしか聴かない。ワイヤレスならなおいい。これも何かに書いてあったが、山下達郎氏もヘッドフォンで音楽を聴いているらしい。別に彼のファンではないけれど。
自腹で買ったCDプレイヤーは、5連奏だ。ターレット式のトレイに、CDが5枚置ける。なぜそんなものを買ったかというと、シャッフルして聴きたかったからだ。お気に入りの女性ヴォーカル5枚とか、お気に入りのミュージシャン5枚とか、全然脈絡も何もない5枚とか。次に何がかかるかわからないドキドキ感がいい。そういう点でも、iTunesは実にいい。だから最近は、プレイヤーを使っていない。
CCCDは、やめてほしい。エイベックスレーベルのミュージシャンなど聴くこともないだろうが、他にも波及するので困る。著作権問題が深刻なのはわかるが、他にもきっといい方法があるはずである。
最近CDを買っていない。気に入った曲もないが、たぶん時代と合わないのだろう。昔はよかったと確かに思うが、今がまずいとは思わない。こういう時は、お気に入りの曲を聴きながら原稿でも書く。
だがこれだけは言わせて欲しい。音楽を自分の感性で捉えず、流行や風潮で聴くな。自分に合う音楽を一生かかって探す、この楽しみをどうか味わって欲しい。

浜田麻里

テレビ神奈川は、地方のUHF局であるにもかかわらず、非常にクオリティの高い音楽番組を作り続けている。その中に、ミュージックトマトジャパンというプロモーションビデオを流す番組があった。PVに興味を持った私はその番組を録り続け、今では膨大な資料の山となっている(そろそろ機材揃えてディスク化したい)。
手持ちのCDも少なくなってきたので、そのMTJから私がインスパイアされたミュージシャンをブログってみようと思う。
ヘビメタクイーンという称号は、その華奢な風貌からは容易に想像できないが、彼女のパワフルなシャウトと類い稀なる美貌は、まさにヘビメタクイーンにふさわしいと言えよう。
自らも作詞作曲をこなし、80年代中盤から90年代前半にかけて、精力的にアルバムを発表し続けた。私が初めてPVを観たのは、「MISTY LADY」「HEART LINE」の辺りである。それほどヘビメタは好きでもなかったし、映像もライブビデオからのピックアップなど当たり障りのない内容で、曲の印象もそれほどではなかった。彼女の魅力は、「BLUE REVOLUTION」で知ることとなる。
初の芝居仕立てのPVで、ブルーに統一された色調が彼女のクールさを引き立て、そこにあのシャウトが絡む。だが、これ以降、彼女は次第にポップ路線へと転向し、派手なシャウトはやや陰を潜めていく。
他に好きな曲は「CALL MY LUCK」「CRIME OF LOVE」だが、「CRIME OF LOVE」は渋く切ないバラードで、まだ健在な頃のシャウトが涙を誘う名曲である。ぜひ一度聴いていただきたい。
先日、デビュー20周年を迎えた浜田麻里、現在も精力的に活動中である。
浜田麻里ファンサイト http://www004.upp.so-net.ne.jp/marihamada/

飯島真理 「ROSE」

今頃彼女について記事を書くことになって、少し反省している。当時アニメオタク絶好調だった私が、初めて部屋にポスターを貼った人であり、初めてコンサートに行った人なのだ。だが、坂本龍一プロデュースでなかったら、このアルバムを買っていたかどうかは少々疑問である。
ガチガチのテクノアレンジではあるが、彼女のキュートな歌声を邪魔することなく、世界観を作り上げているのはさすがである。何百回とレコードに針を落としたが、もちろん今でも聴ける曲ばかりである。
ただ、よく言われることで私もそうなのだが、飯島真理の音、というのはとうとう見つけられなかった。もちろん、彼女はシンガーソングライターなのだが、曲にそれほど特長がなく、奥田民生や小西康陽のように誰が歌っても作曲者がわかるようなサウンドではなかった。
だが、その声は飯島真理以外の何物でもない。十年二十年経っても、彼女の声の魅力は色褪せることはない。それが逆に、コンポーザーとしての飯島真理を隠してしまったのかもしれない。
アメリカ人音楽プロデューサーと結婚してロスに永住、二児をもうけるが離婚。現在もロスで活動中であり、最新アルバムが発売されたばかりである。日本での入手は難しそうなのだが、機会があれば聴いてみたい。
飯島真理 公式ウェブサイト(英語) http://www.marimusic.com/
SJX-30207 Victor 1983