医食同源という言葉があるが、梅干しはまさにそういう食べ物だ。私にとっては。
昔、神戸に西武百貨店があったころ、仕事場が近かったので地下へよく弁当を買いに行った。そこのおばちゃんが、「梅干しもう一個入れとくわな」とおまけしてくれるのだが、別にそれほど梅干しが好きなわけではないので、「ありがとう」と言うのがやっとだった。
せっかくおまけしてくれるので食べないわけにはいかない。膝を叩いておいしいものでもないが、そうまずいものでもない。そんなこんなで、なんとか梅干しが食べられるようになった。
仕事が変わり、十何年か振りに母親に弁当をつくってもらうことになって、ここでまた梅干しの登場である。たぶん身体にいいんだろうなと思って、口を酸っぱくする。
その仕事をクビになって、弁当をつくってもらうことはなくなったが、今でも昼飯には必ず梅干しを一つ摘んでいる。
たぶん身体にいいんだろうなと思って、今日も梅干しを食べる。