何が一番びっくりしたって、あれからもう二ヶ月経っていたことだ。
事故が起こったのは8月頭。生存者がいることがわかって、彼らを救出するまでに二ヶ月以上かかると聞いた私は、絶対に無理だと思った。それからもう二ヶ月経ったのかよ。
しかし見事な救出作戦だった。狭い閉鎖空間に30人以上の人間が二ヶ月も暮らして、死者はおろか重篤なケガ人や病人を誰一人として出さなかったのは奇跡だろうか。
いや、彼らの生きる力が成せる業かもしれない。
この事故で思ったのは、政治家の無能さだ。あのしゃしゃり出てくる大統領に、チリ国民のみならず、遠い日本の視聴者でさえ閉口していたのだから。
こないだ甥姪の運動会で、開会式のときに地元の議員のメッセージが紹介されていた。
どうにかして政治家というものは、己の存在をアピールしたいものなのだと、情けなく思った。
この事故に奇跡があるとするなら、あんな大統領なのによく国がもっているなということだろうか。