H-IIA7号機打ち上げ

まさに背水の陣である。7号機の打ち上げが失敗すれば、日本の宇宙開発はもう終ったと言っても過言ではない。情けない話だ。緻密で精密な技術こそが日本の産業を支えてきたはずなのに。
宇宙開発に限った事ではない。H-IIA7は、気象観測機能などを備えたMTSAT-1Rという人工衛星を搭載する。いわゆる気象衛星ひまわりの後継機だ。もし打ち上げが失敗すれば、日本の気象観測にも大きな打撃となる。去年のように台風が頻発すれば、被害は甚大になるだろう。
悲観的な話ばかりしていてもしょうがない。今回を含めて、JAXAでは打ち上げの模様をネットで生中継している。
以前に一度見た事があるのだが、打ち上げからブースター分離や衛星投入まで、つまりロケット本体にカメラがついていて、居ながらにして宇宙へ行けてしまうのだ。これは大人の私でも感動ものであった。ぜひ子供達に見てもらいたい。
中継開始は26日16時25分(変更される可能性あり)。カウントダウンからリフトオフの瞬間、健全な男子ならきっと身震いがすること請け合いだ。共に成功を祈っていただきたい。
http://www.jaxa.jp/

四次元天体シミュレータ

国立天文台の研究機関が、立体的に表示できる天体シミュレータを発表した。サイトから無償でダウンロードして利用可能だ(WIN)。早速使ってみた。
立体表示なのでハイスペックが要求される。確かに、起動にだいぶ時間がかかった。お世辞にも愛想があるとは言えないが、起動が完了すると星空が表示された。マウスで掴んで引っ張ると、ぐるぐる星空が動く。おおー。
コマンドから「離陸・着陸」を選択して宇宙に出る。地球を見下ろす宇宙空間に出た。ここもマウスでぐりぐり動かせる。太陽系の惑星や、恒星、銀河系、パイオニアやボイジャーにも行くことができる。
まだまだベータ版なので、これからのバージョンアップが期待できる。リンク先へ行ってもらえればわかるが、こういうソフトを製作しているプロジェクトチームの作業場は、国立天文台のプレハブ棟なのだ。もうちょっと優遇してやれよ。
http://4d2u.nao.ac.jp/

ISS(国際宇宙ステーション)

スペースシャトルの飛行停止以降、ISSはその影響をモロに食らってしまった。本来ならばもうすぐ完成するはずなのだが、運用どころか工事さえままならないのが現状だ。
スペースシャトルの飛行再開予定を控えて、宇宙機関長会議というのが開かれた。NASAやESAなど主要宇宙機関の偉いさんが一同に会して、今後のISSについて話し合った。宇宙開発は、国際協力なくして成立しない。会議では、ISSの2010年の完成を目指して、更なる協力が約束された。
宇宙開発は金がかかる。今は国際プロジェクトで進んでいるが、最終的には商業運用が必要になる。そのためにも、ISSの完成、運用は絶対である。
人類の次の大きな一歩のためにも、ISS計画の成功を祈っている。
と本当ならここで終わりなのだが、気になるニュースを見つけてしまった。現在ISSで活動中の宇宙飛行士が、空調の故障や機械の異常音を調べているうちに、ISSの外壁に正体不明の付着物を発見したそうだ。
もちろん、そこは真空の宇宙。付着物というのが、外壁からしみ出てきたのか、それともどこかから飛んできたのかはわからない。なんとも気味の悪いニュースであるが・・・

カッシーニ-ホイヘンス探査機タイタンへ

NASA/ESA共同で打ち上げた土星探査機カッシーニが、子機であるホイヘンスを土星最大の衛星タイタンに送り込んだ。ホイヘンスは着陸に成功し、地球へタイタンの画像を送信してきた。火星以遠の着陸探査は初めてであり、このミッションの成功は非常に有意義なものである。
タイタンは地球のように大気があり、地表にはメタンの海があるとされてきた。まだ確認はされていないが、原始地球に似た環境を持つタイタンを調査することによって、生命発生のメカニズムなどが解明されるかもしれない。
http://www.esa.int/SPECIALS/Cassini-Huygens/index.html

ディープインパクト打ち上げ成功

NASAは、東部標準時12日13時47分、フロリダのケープカナベラル空軍基地からディープインパクト探査機の打ち上げに成功した。このミッションは、彗星に探査機をぶつけて中身を調べようという、かなり豪快な計画である。
彗星は、太陽系が形成されたころの物質を内包しているとされ、これを調べれば地球や太陽の起源を解明できる。今回、その貧乏くじをひいた彗星は、テンペル第一彗星(9P/Tempel 1)で、木星軌道の内側を回る公転周期5年の周期彗星である。
探査機は、彗星の近日点通過(火星軌道)を狙ってランデブーし、子機を彗星に向けて撃ち出してその様子を観測する。激突の瞬間は地球からも見られる(もちろん、巨大望遠鏡だが)。激突時の相対速度は37000km/h、彗星表面には直径100m程度の穴が空くそうだ。これだけの衝突で彗星の軌道が変わったりしないか少し不安である。
その名の通り、このミッションは映画から名付けられた。空想が現実になるとは思いたくないが、衝突予定日が独立記念日というのはやはり引っ掛かる。国威発揚の陰に隠さなければ、巨額の予算も通りにくいのだろう。ともかく、ミッションの成功を祈る。
http://www.nasa.gov/mission_pages/deepimpact/main/index.html

マックホルツ彗星(C/2004Q2)

星は夜にならないと見えない(当たり前だ)。夜というのは人間が活動を収縮していく時間である。その時間を割いて天体観測をするというのは非常に辛い。高校時代、天文気象部の部長を二年務めさせてもらった私が言うのだから間違いない。
ちょうど今、比較的見やすい彗星が夜空に浮かんでいる。ニュースなどでも取り上げられているのでご存知かもしれない。詳しい情報はリンク先に細かくあるのでご一読を。
そのリンク先でも書かれてあるが、彗星は肉眼で見たとき、決して写真のように尾を引いた姿が見えるわけではない。あれは長時間露光撮影で蓄積された光が写っているのであって、実際はぼんやりと明るく見えるだけである。もしかすると、ニュースにそそのかされて夜空を見上げて、見つからないわ寒いわでカゼをひいてしまうかもしれない。見つけたとしても「あれかな?」程度なのである。
釣りと同じで必要なのは忍耐と我慢。星の瞬く夜空というのは、それほどロマンチックなものでもないのだ。しかし、流星雨だけは人生に一度見ておいたほうがいい。私は3年越しで獅子座流星群を拝めたわけだが、あれは素晴らしかった。
とかくストレス社会の世の中、星空を見上げれば、己の小ささにもっと人生が嫌になることだろう。寒さ対策だけは万全に。
彗星符号解説:Cは発見直後または長周期彗星。2004は発見年度。Qは1年12ヶ月をアルファベット24文字で割ったもの(ひと月前後半で一つのアルファベット、1月後半はA、1月後半はB。従ってQは8月後半)。2はその時期に発見された彗星の通し番号。つまりマックホルツ彗星は、2004年8月後半に発見された2つ目の彗星。
http://www.nao.ac.jp/pio/20050107machholz/