第33回上方お笑い大賞

大賞-辻本茂雄
最優秀新人賞-麒麟
大賞は功労賞的な意味合いが強いのでここでは触れないが、最優秀新人賞が麒麟という結果に首を傾げた人も多いかもしれない。残念ながら当日のネタは見ていないので細かいことはわからないが、事実上麒麟と笑い飯の一騎討ちであった。ではなぜ、今年のM-1最有力候補の笑い飯が敗れたのか。
この上方お笑い大賞は、どちらかといえば保守的な傾向にある。審査委員長が藤本義一であることから、大阪の伝統的な笑いを重んじる向きがあるように思われる。そういう点において、あの笑い飯の特異なネタより、麒麟のオーソドックスなしゃべくり漫才が好まれたのであろう。
もちろん、麒麟には賞に値する実力があるし、審査は公平に行われている。ただ、やはりそこには笑いを審査するという難しさと、ネタの良し悪しだけでは計れないファクターが存在しており、下馬評どおりにいかないことを如実に証明してくれた。
さて、間もなく今年のM-1グランプリが開催されるわけだが、一見すると飄々とした雰囲気の笑い飯、己という最大最強の敵に立ち向かえるかどうか。大番狂わせはあるのだろうか。

2004M-1グランプリ決勝進出組決定

東京ダイナマイト(オフィス北野)
アンタッチャブル(人力舎)
タカアンドトシ(吉本興業 東京)
千鳥(吉本興業 大阪)
トータルテンボス(吉本興業 東京)
南海キャンディーズ(吉本興業 大阪)
POISON GIRL BAND(吉本興業 東京)
笑い飯(吉本興業 大阪)
以上の8組に加えて、当日の敗者復活で1組、合計9組での決勝となる。
楽しみにしているお笑いファンには申し訳ないが、今年は笑い飯で決まりである。対抗馬が全く存在しない今年は、ほぼ100%笑い飯がグランプリを獲るだろう。
ただ、MBS漫才アワードのように観客の点数を重視するような採点方法ならばあるいは、という可能性もなきにしもあらずである。笑い飯が上り調子なのは間違いないが、観客はかなりネタに慣れてきているので、当日の観客の沸きで採点を左右される審査員が出てくるかもしれない。
自己中40女のとばっちりで外れた紳介さんの影響で、審査員の点数も去年に比べれば予想しにくい。がしかし、どれだけマイナス要素があるにせよ、やはり笑い飯の牙城であることは間違いないだろう。
個人的には、南海キャンディーズの決勝進出は嬉しい。難しいとされる男女コンビで、着実に力をつけてきている。ネタにもっとドツキを入れて、カチッとした山ちゃんの風貌が崩れていくというパターンも取り入れてほしい。長らく絶えていた男女ドツキ漫才の復活を期待している。
決勝は、12月26日である。
http://www.m-1gp.com/

ポジショニング

面白ければテレビに出られるか、答えはノーである。
何度も言うが、芸人の本分は舞台である。が、これだけ無料で観られるテレビが発達してしまえば、活躍の場をテレビに置かざるを得ない。
笑いという己の芸の成果をストレートに受け取れる舞台と違って、テレビのそれは反応が実にわかりにくい。自分の意図に反して、テロップや編集などをされてしまうこともある。となるとテレビの方が難しいように思うが、面白くなくてもテレビには出られるのだ。それには、ポジションというものが重要である。
青木さやかがバラエティで活躍しているのも、そのポジショニングに当てはまったからである(彼女が面白くないとは言っていない)。毒舌の女性芸人という、長い間空白になっていたポジションに、青木さやかは収まったのだ。
長年女性に嫌われている出川哲朗がテレビに出続けているのも、嫌われキャラというポジションを彼が獲得しているからである。同じく、ダチョウ倶楽部の上島竜平も、ヨゴレ芸人というポジションを獲得している。
最近、安田大サーカスが注目を浴びているが、彼らはかつてのダチョウ倶楽部のポジションに収まろうとしている。出オチ、ヨゴレ、キャラクターにも個性があるので、今後の活躍に期待が持てるが、かなり仕事的にも厳しいポジションなので、身体を壊さないようにしてほしい。
ポジションを得たからといって、そのポジションを維持できるかといえば、これまたそうではない。それには、他の芸人との絡みが必要になってくる。
コンビ芸人はボケとツッコミのスキルを活かし、MCから振られればボケ、MCがボケればツッコむ。ピン芸人は持ちギャグやトークのスキルを活かし、MCとのタイマンで勝負する。
ギター侍は、その点かなり厳しいものがある。ピン芸人はもともと話術があるので絡みやすいが、彼は音楽ネタなのでその類ではない。それに、エンタの神様というバイアスとテロップの助けがあってこそ、という感じがまだまだあるので、早くその呪縛を解いて独り立ちしていってくれることを望む。
芸人が、ネタ見せだけで食える時代では、残念ながらなくなってきた。もはやテレビは必要不可欠である。だがしつこいようだが、芸人の本分は舞台である。目の前の客が笑わないのに、電波の向こうの視聴者が笑うわけがない。面白くなくてもテレビには出られるが、舞台に上がるのは面白い芸人だけである。舞台とテレビ、この似て非なるものを制することによって、芸人は天下を獲ることができるのだ。

陣内智則

とうとう資生堂がスポンサーを降板することが決定した日テレの極悪演芸番組「エンタの神様」にも出演しているので、お笑いに疎い人でも見たことがあるかもしれない。
あんな番組に出ているから、彼についてお笑いをよくわかってない人がよくわかってないブログとか書いているので、少しフォローしておきたい。
NSC11期生、92年にリミテッドを結成。2丁目劇場でそこそこ活躍するが、劇場の壁に書かれた「リミテッドおもんない」というファンの落書きによりわずか3年で解散。いろいろと悩んだ挙げ句、やはり芸人としての道を歩むことを決意する。
しかしピン芸人の道は厳しく、舞台でも受けない日々が続いた。コンビ時代ツッコミだったこともあり、それを活かしたネタはできないかと紆余曲折を経て、ボケネタを事前に用意し、それを舞台で流して本番で突っ込むという、独自のスタイルを確立した。
ネタの映像は、構成作家の原田専門家の協力で事前に収録。もちろん、収録には立ち会い、ネタも本人が書いている。ここは声を大にして言っておきたい。
最近、ネタもんのDVDも発売され、上り調子といったところである。ただし、テロップはないのでエンタの神様視聴者は少々わかりにくいかもしれんなあ。
割とルックスがいいので、女性問題でのトラブルだけは注意してほしいものだ。田丸麻紀とは結局ノリだけで終わったらしいが・・・。
はてなダイアリーに陣内孝則がいとこってあったけど、ほんま?

エンタの神様はやっぱり視聴率にあぐらをかいていたのか

番組に関して、ネットでどんな批判を受けようが、視聴率がよければ全てはオーライである。この番組が二年以上も続いていることが何よりの証拠だ。
しかし、ちょっとまずいことが起こってしまった。
例のギター侍のネタで、番組スポンサーでもある資生堂の別スポンサー番組「おしゃれカンケイ」をもじって、「よごれカンケイ」というくだりがあったそうだ。これに資生堂が激怒、エンタばかりかおしゃれカンケイのスポンサーまで降板すると言い出したらしい。
スポンサー降板どうこうは別に勝手にすればいい。問題は、エンタの神様のチェック体制だ。
皆さんもご存知のように、エンタの神様は芸人のネタにいちいちテロップをあてる。ギター侍も当然テロップが入ったはずだ。ということは、この問題になった「よごれカンケイ」という言葉もテロップに起こしたはずである。
ネタをディレクターなりプロデューサーなりがチェックしていれば、これはちょっとまずいんじゃないかの一言くらいあったはずだ。しかし、ネタはオンエアされた。
つまり、番組制作の偉い人は、何もしていなかったのである。
資生堂は、おしゃれカンケイは別にして、エンタの神様はさっさと降りたほうが賢明である。日テレにはいい番組がたくさんあり、私も毎日どこかでチャンネルを合わせている。
エンタの神様ほどレベルの低い番組はない。それは、出演者である若手芸人のことでは決してない。彼らもあの番組に出ることによって、自らのレベルを下げてしまっているのだ。
百害あって一利なし。エンタの神様は、スタッフをごっそり替えるか、番組を即座に打ち切っていただきたい。さもなくば、エンタの神様という毒素が、汐留のあのビルを腐食していくだろう。

エンタの神様は期首特番に総集編かよ

10月4月はテレビ番組改変期といって、視聴率の悪い番組をたたっ切る季節である。
と同時に、期首特番といっていわゆるスペシャルものを放送して継続になった番組を盛り上げようという時期でもある。
そんな中、我が(?)エンタの神様は、リクエスト特集であった。もちろん観ていないが、今までのネタを編集して放送したと思う。
期首特番といえば、予算もふんだんに使えて豪華な番組を制作するのが普通だが、それほど大物芸人も出ていないにもかかわらず、エンタの神様はVTRの編集だけで特番をつくってしまった。まさか、余った予算をスタッフで分けたわけではないだろうが、テロップ係にはボーナスでもやってほしいものだ。
せっかく視聴率もいいのに、若手芸人みーんな集めて生放送でもやったらいいのに、って思うじゃなーい。
ちょっとちょっと、生放送じゃテロップ流せないですから!残念!
ギター侍は生放送永遠に出られないのか、斬り!
ま、みんなてきとーにがんばれや。

ものまね考

ものまねと言えば、やはりフジであり、ものまね四天王である。どうも日テレやテレ東はうさんくさいというか、バッタもん的なイメージがあったが、コージー冨田と原口あきまさを輩出してからは一気にシェアを拡げた感がある。
先日、フジのものまね番組をながら観していたら、奇妙な現象に出くわした。ぐっさんこと、山口智充がなぎら健壱の歌まねをしたときである。ぐっさんの後にご本人が登場したのだが、そのご本人の歌声を聞いて客席から歓声が上がった。
つまり、誰も本人の歌声を知らないのだ。ぐっさんがものまねした後、本人の声を聞いて似てると思ったからこその歓声である。これは実に珍しい現象だ。と同時に、実に微妙な現象である。
以前、ビジーフォーがトリオ・ロス・パンチョスかなんかのものまねをしたときでも、たぶん客席の中で、いや視聴者の中でもオリジナルを知っているのはごく僅かだっただろう。それでも有無を言わさないというのは、やはりものまね師の力量である。
現在、ただ似ているというだけのものまねは既に限界である。ものまね対象の斬新さ新鮮さ、ネタ運びのうまさなどが要求される。松村邦洋が才能を持て余しているのもその辺の力不足によるものだ。
その中でも、コロンブスは今後台頭していきそうな感じがする。女性二人組のユニットで、YOUや磯野貴理子などものまね対象の新鮮さは抜群である。ものまね番組も一時期に比べると先細り感があるのは否めないが、がんばっていってほしい。
余談だが、コージー冨田と私は誕生日が同じである。