IRL第4戦もてぎ

やはりオーバルは面白い。あちこちで繰り広げられるデッドヒート、安全を確保するためのイエローコーションは、リスタートという形で勝負の瞬間を何度も見せてくれる。日本にオーバルサーキットを作ったホンダはえらい。
CARTとIRLが分裂してもう十年近くになる。当初は無名のチームやドライバーばかりで存続が危ぶまれたIRLだが、やはりインディアナポリス500というビッグネームは強力で、参戦メーカーや有力チームが次々とIRLに鞍替えし、その関係は逆転してしまった。
さて、今年初見となるIRLだが、やはり知っている名前が少ない。フランキッティ、カストロネベス、カナーン、ハータくらいだろうか。マイケルは監督になっているし、いわゆるベテランのドライバーが見当たらない。最盛期のインディカーシリーズは、エマーソンやマイケル、レイホールといったベテランドライバーに、ヴィルヌーヴやモントーヤなどの若手が食らい付くといった構図が見物だった。だが、若手が気を吐いているというのは、今も昔も同じである。
その気を吐いている若手だが、ダン・ウェルドン、サム・ホーニッシュJr、トーマス・シェクターあたりが注目株らしい。いずれも25歳前後のぴちぴち若手ドライバーである。いずれ記事にしようと思っているが、今年は各カテゴリーで女性ドライバーの活躍が目立っている。IRLでもダニカ・パトリックという女性ドライバーがフル参戦、今回の予選では2番手につけた。
レースはオーバル特有のデッドヒートの連続で、イエローもストレスがかからないくらいに発生して、見ごたえのあるものだった。優勝はダン・ウェルドンだったが、給油のギャンブルに失敗したシボレーのトーマス・シェクターは、面白い役回りになった。最後のイエローがもう少し早ければ、彼にも勝つ可能性があった。
次戦はインディ500。松浦が優勝するようなことがあれば、ウィナーズサークルでぜひ日本茶を飲んでもらいたい。

F1第4戦サンマリノGP

フェラーリはいよいよ深刻だ。予選はフロントロウどころか、トップ10がやっとである。
改修されたとはいえ、かつての高速サーキットの性格を残しているイモラで、鍵を握るのはピットのタイミングだろう。如何にトラフィックを回避してクリアラップを叩き出すか。
予選のミスで沈んだシューマッハ兄が、それをやってくれた。優勝こそはならなかったが、予選13位から堂々の2位である。やはりF1サイボーグおそるべしだ。ヨーロッパラウンドでのフェラーリの巻き返し、まずは一矢報いたというところである。
そのシューマッハ兄の猛追を凌いで三連勝を挙げたアロンソも、その実力を完全に証明した。と同時に、今年のルノーの強さも紛れもない本物である。
ラスト10周余り、あのシューマッハの赤いマシンをミラーに見ながら、よく抑えきったもんだ。デイモン・ヒルなら3周ともたなかっただろう。野球に例えれば、9回裏満塁で、メジャーリーグの各チームの4番打者を全て打ち取るくらいのシロモノである。
元気のなかったホンダも3-5フィニッシュで今季初のポイント、琢磨は5位入賞である。トヨタも地味ながら2台ともポイントゲットだ。
フェラーリの復調、好調な日本勢、ヨーロッパラウンドはどうやら混戦の予感である。

フォーミュラニッポン第1戦もてぎ

そういえば、F1はいつからスリップストリームを使わなくなったのだろうか。
国内最高峰のモータースポーツでありながら、正直今ひとつどころか全く盛り上がっていないFポン。しかし開幕戦のレース内容は、抜きつ抜かれつの手に汗握る白熱したものだった。
久しぶりに観たが、知らないドライバーのほうが多かった。知っていると言えば、本山、服部、野田、松田、そして虎。出戻りの虎之介は、セルモのバックアップで自らチームを率いての参戦である。近藤レーシングはルーキー二人を立ててきた。結果を出すまでにはかなり時間がかかるだろう。
シャシーとエンジンがワンメイクになったようで、イコールコンディションが保たれている。そのせいもあって、あんなバトルが見られたのだろう。ドライバーの力量が如実に試されるレースである。
かつてはエディ・アーバイン、ラルフ・シューマッハなどF1の登竜門として重要な存在であったが、近年は国内レース最高峰としての位置を保つのがやっとである。ルーキーがベテランに揉まれ、ステップアップしていくという役割を、今後のFポンには担っていってもらいたい。

アルファロメオ


フェラーリより、アルファロメオのほうがイタリアを代表する車だと、個人的には思っている。華美なフェラーリより、流麗なアルファロメオが好みである。
現在のラインナップは、147、156、166を中心に、GTV、スパイダー、スポーツワゴンやGTVなど、決して車種は多くないが、どれもパンチの効いたモデルである。ただし、アルファロメオも業績は思わしくなく、166は年内で生産停止である。つまり、イタリアのメーカーは上級セダンから撤退することになるのだろう。
だが、悲観的な話ばかりではないのはアルファロメオが元気な証拠だ。156の後継、159が夏に発売される。より挑戦的なフェイスグリルで、より強力なパワートレーンを搭載してやってくる。
これに合わせて、スポーツクーペモデルのGTも年内にブレラという名前で登場する。もちろん、両方ともジウジアーロである。ピニンファリーナにはない肉肉しさを纏って、やがて日本の街を駆け抜ける日がやってくる。

F1第3戦バーレーンGP

今年初めて映像を見たが、グレーのアスファルトと砂のコントラストはなかなか趣きがある。しかし、マシンにとっては砂は大敵、少しでも縁石を割り込もうものならたちまちマシンは砂だらけになるだろう。加えてあの暑さである。駆動系やタイヤにはかなりきつい。ドライバーにも影響大だ。
モントーヤがプライベートで骨折し、代わりにデラロサが出場することになった。全く余談だが、彼とプロストと私は同じ誕生日である。個人的にがんばれ。
前2戦の結果を受けて、フェラーリは急遽新車を投入してきた。予選ではさすがに結果を出してきたが、シューマッハ兄は残念ながら決勝序盤でリタイヤとなった。これも全く余談だが、彼と私はタメである。
フェラーリの不振もあって、アロンソが2連勝、トヨタも2-4フィニッシュとなった。代打出場のデラロサも5位に食い込んだ。久しぶりのレースで結果を出してくるところはさすがである。
さて、フェラーリの不振はいよいよ深刻である。新車投入も空振りに終わった。ヨーロッパラウンドに向けてどういう手を打ってくるのだろうか。そして、ルノーの好調はフロックではないようだ。このまま独走するのか、フェラーリの巻き返しはあるのか。
気候変動の少ないヨーロッパラウンドで、その真価が試されるだろう。

ロータス


長年生産されていたエスプリが生産停止になり、とうとうロータスはエリーゼ一本になってしまった。エラン、ヨーロッパ、エクラ、エリート、エクセル、エスプリと、車種名がEで始まることはロータスの伝統である。
ライトウェイトスポーツの代名詞であるロータスは、70-80年代にはF1でも大活躍、セナや中嶋悟もステアリングを握った。世界的不況の煽りで90年代半ばに経営危機に陥るとともにモータースポーツからも撤退、トヨタやGMなどの支援を受けながら、現在はマレーシアのプロトンの傘下にある。
しかしエリーゼは絶好調だ。派生モデルであるエクシージや究極のライトウェイトモデル340Rも、その筋では大人気である。
正直、エリーゼは素人が乗れる車ではない。休日に家族で出かけるような車ではない。そんなモデル一本でやっていこうと言うのだから、ロータスの底力や如何にである。近い将来、F1への復活もあるかもしれない。ないかもしれない。

ランチア


かつてはストラトスやデルタなど、スポーティなイメージが強かったランチアだが、業績も悪化して今やすっかり普通のメーカーになってしまった。
現在のラインナップは、セダンのテシス、大型MPVのフェドラ、ワゴンだけになったリブラ、コンパクトカーのイプシロン、そしてミニバンのムーサである。しかも、テシスは今年度中の生産停止が決定している。なんとも元気のない話だ。
今のランチアに、かつてWRCで隆盛を極めた頃の活気はない。ラリー037、デルタS4、デルタインテグラーレ、今見ても惚れ惚れするイタリアンテイスト満載の車だった。
そんな中、先のジュネーブショーでイプシロンのスポーツモデルが発表された。なんと、ザガートデザインである。市販を前提としているので、少しは期待できるかもしれない。