大阪から京都へ向かう特急車内にて。
朝早かったので、京都までゆっくり寝たかった。シートに深く腰をかけて、カーテンを閉めて目を閉じると、車内に声が響きだした。
ほとんど何言ってるかわからない、意味不明の単語を繰り返して大声で喋っている。ちょっと知能の発達が遅い人のようだ。
車両中に響くかなり大きな声だ。で、ずっと喋っている。喋っているというか、何か言葉を延々とずっと繰り返している。ときどき「武田薬品」とか、「飲む」とか理解できる単語も聞こえるが、ほとんど意味不明だ。
時折、かすかな声でその言葉に応ずる声が聞こえる。親御さんか、付き添いの人だろう。
同じテンションでずっと喋っているのだ。小さな声ならまだいいが、我々が飲み屋で話すような音量の声が、静かな車内にずっと響き渡っている。
さあ、どうする。注意したところで、聞き入れられるはずがない。彼にそんな理解力はないだろう。もしあれば、付き添いの人の注意にとっくに従っている。
赤ちゃんの鳴き声なら仕方ないと諦めるが、野太い大人の声だ。どうにも置き換えることはできない。
途中で降りることを願ったが、結局私と同じ駅で降りた。一時間、彼はずっと喋りっぱなしだった。
運が悪かったと諦めるべきなのかもしれない。しかし、この怒りはどこへ向ければいいのか。
もう一本電車が違ったら、もう一つ車両が違ったら。なぜ同じ電車なのか、なぜ同じ車両なのか。
やはり運が悪かったと諦めるべきなのだろうか。
一つ言いたいことがある。公共機関を利用する以上、公共に迷惑をかけるべきではないと思う。
健常者がそういう行為をしているのなら、蹴飛ばすなり殴りつけるなりして事は済む。
社会的弱者が公共に迷惑をかけている場合、我々はどう対処すればいいのだろうか。
さあ、みんなで考えよう。