道であるものを拾った。あるものが何かというのは差し障りがあるので控える。
人生、そんなに拾えるもんじゃない。事実、私はそれを生まれて初めて拾った。
ラッキー、と一瞬思うが、しばらくすると恐ろしく冷静になる。この運の揺れ戻しがどこかで来るんじゃないかと。
濡れた路面で足を滑らせるとか、仕事で大失敗するとか、またどこかへ飛ばされるとか。
それを拾ってから一分もしないうちに傍らをパトカーが通った。ふふふーん。
そういえば、神戸を追い出されてから細かいツキが回ってくるようになった。まあ、降っていた雨が止んだり、電車で隣に女の子が座る確率が増えたりとか、そんな程度だ。
もしかすると、それも運の揺れ戻し、埋め合わせなのかもしれない。
仕事も無事終わり、雨も止んだ。寄る予定のなかったカードショップへ立ち寄る。
宝くじ、とかいうのは即物的なので、トレカで運を試す。ちょうど最後の1パックだ。残り物に福が・・・
それほど人生甘くないようだ。