ニュースキャスターの一言が気になった。
「風化させないようにしたい」
そう、被災者以外の人々にとっては風化しているのだ。他人事なのだから無理もない。
私は直接の被災者ではないが、あの日のことは昨日のことのように思い出す。
最近、二十歳前後の若い子と仕事を一緒にしているが、その子たちがまだ小学生の頃の出来事だ。中にはうろ覚えの子もいたが、ほとんどがかなり強烈に記憶していた。
一人、長田に住んでいた子がいて、あの菅原商店街の近くに住んでいたという。幸い家人に亡くなった方はおられなかったが、家は半壊したそうだ。
震災の年に生まれた子供は、もう小学校を卒業するくらいの年齢になる。君達が生まれる前、この街はめちゃくちゃになったと言っても信じないかもしれない。
震災の記憶は風化するものかもしれないが、震災に備える心まで風化させてはいけない。
経験を活かし、次に備えることこそ、我々のなすべきことである。