今日ほど下戸であることが残念な日はない。勝利の美酒というものを味わいたかった。
電話がかかってきたのは家人が留守の夕方。
10年前の配水管洗浄の契約がどうのこうのと言っている。
実はもうその業種が既に悪徳臭いのだが、真っ当な業者もいるので一応話を聞く。
すると、それは亡くなった祖父が勝手にやっていたらしいもので、向こうは祖父の名前を出してきた。
うちのおじいは、ボケてはいないのだがよく勝手にそういう契約をして家人を困らせていた。
これもたぶん勝手にやったんだろう。しかしこっちには確認する術はない。
私もそんな話は知らないので、一応家人に聞くからまた電話をしてくれと一度切る。
で、帰ってきた母親に確認すると、そんなことはもちろん憶えてないし知らない。
よし、もうここは当初の意志を貫こう。電話勧誘や訪問販売に関しては、その如何を問わず一切取り次がないと。
昔、SBやauの代理店がしつこく電話をかけてきて、代理店経由の電話は一切取り合わないことにしているときっぱり言ったら、それ以降かかってこなくなった。
今回もこの手を使うしかない。
一っ風呂浴びてすっきりして、また電話がかかってきた。
私がそのことを告げると、何か物を売るとかじゃなくて、営業のご挨拶がしたいと。
そういうのも含めて一切取り次がないことにしていると私も一歩も引かない。
この間、あくまでも優しいトーンで、声は大きくなれども決して荒げないことが大事だ。
同じようなやり取りが数回続いたので、埒が明かないと踏んだ私は、こういう電話は、相手がどんな一流企業であろうと一切取り次がない。例え株式上場企業であろうとどんな内容だろうと、一切お断りしていると私もしつこく繰り返した。
すると、相手はようやく諦め、電話を切った。
勝った、勝ったぞ。
この間、あくまでも友好的な雰囲気で終始会話は進んだ。ただ、相手の話を遮ってでも、こちらの意思を確実に伝えた。
向こうが悪徳業者かどうかはわからない。祖父が本当にそんな契約をしたのかどうかもわからない。
もし悪徳業者だとしたら、10年も経ってこんな電話をかけてくるだろうか。10年経ったら配水管も汚れ時だ。もしかしたら真っ当な業者かもしれない。
しかし、電話勧誘、訪問販売の類は、その内容の如何に関わらず一切取り次がないという意思を貫徹することが、あらぬトラブルを回避する最大の方法である。
例え相手が日本国首相であってもだ。それは尚更かw