昼休みのヒマ潰し、ヴィレッジヴァンガードの店内でその曲は私の耳に飛び込んできた。たいして興味もない本をぱらぱらめくりながら聴くこと15分。小西さんこんなユニットプロデュースしてたんやと確信した私は、家に帰って早速調べた。
その結果は、小西さんの小の字はおろか、ピチカートのピの字も見当たらない、capsuleというユニットの音だった。とうとう私もヤキがまわったらしい。だが、どこをどう聴いてもこれは明らかにピチカートの音である。
その証拠に、ライナーやキャプションには渋谷系の文字もうかがえる。まあ私は今でもピチカート=渋谷系などとはこれっぽっちも思っていないが、capsuleの音は確かにピチカートサウンドそのものなのだ。
首謀者である中田ヤスタカは、ピチカートとは何の接点もない。ピチカートファイヴを聴いていたかという質問にもし彼がいいえと答えたなら、そのときは殴ってやろうと思う。
21世紀の夜明けとともに霧消したピチカートサウンド。彼らが残していった小さな種は、私の知らないところでこんなに大きくなっていた。ちょっとだけ悔しいが、やっぱり嬉しい。